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慣れない仕事もようやく慌てることが少なくなってきた。しかし、まだ自分が働いていることに実感が湧いていない。実家にいた時は気が向いた時に小作人たちの所に行って、金を受け取るだけでよかったのに。 毎日冷たい水に手を浸し、名前もよく知らない花を店先に並べ、ヘラヘラと愛想笑いを浮かべないといけない。俺には今まで縁のなかったものばかりだ。しかし、ここで生きていくためにはやらなくてはならない。 それに、アルファより劣っているオメガのルークが出来ているんだ。俺にだって出来るはず。そう言い聞かせ、毎日足を棒にしながら働いていた。 「もう少ししたら休憩にしようか。今日はクリームチーズとサーモンのサンドイッチを作ったんだ」 「分かった」 「あと、玉ねぎのスープもあるよ。アスラン、好きでしょ?」 「はあ? 何でだよ」 「だって前に作った時、珍しくおかわりしてたから」 くそっ。そんなところまで見られていたのか。確かにルークの作る玉ねぎのスープは甘みの中にコクがあり、どこか優しい味がした。 だがそれだけだ。別に気に入っている訳では無い。毎日出されても文句は言わないが、好物ではない。断じて! 「そうだ、夜は何がいい?」 「別に、なんでもいい」 「じゃあ貝のワイン蒸しにしよう。白ワインに合うからアスランも気に入ると思うよ」 にこにこ、いつも通り笑いながらルークが話している。対して俺はいつも通りの仏頂面。自分で言うのもあれだけど、楽しいのか? こんなやつと話していて。
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