骨酒

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骨酒

冬といえばひれ酒なんて通人も多い 香ばしく炙った飴色のフグのひれを湯呑みに入れ 熱々の燗酒をいれ蓋をしてしばし待つ ヒレの香り旨みがじわじわと酒にうつる この時可愛らしい小さい入れ物ではなく 両手で包んでちょうど良いくらいの湯呑みが良い 熱々の熱を手のひらで感じるのがまたいい 蓋を開け火をつけて酒精を少し飛ばして飲むのも良いが、飲み込むと喉に熱を感じるそのままのひれ酒もまた味わい深い ひれ酒に使う酒は上等じゃなくていい ヒレの香りを邪魔しないもの ひれ酒の良さは、酒好きなら誰もが知っている でもあえて,ここでは骨酒にふれたい 岩魚や山女の小ぶりなものを少しの塩で カリカリにやいて 竹の筒にいれて囲炉裏であぶる骨酒は乙なものがある 特別な場所で楽しむ贅沢品 私のおすすめは 鯛のアラ(スーパーなどで売っているもの)を 少しの塩でカリカリに焼く 身は残ってないくらいで良い 脂っ気が全部落ちるほどしっかり焼いて 酒燗器にいれる 日本酒を酒燗器に注ぎ 直火でゆっくり加熱 日本酒の香りがとび 鯛の香りが漂うころ完成 ひれ酒と違い湯呑みじゃなく ぐい呑みに酒燗器からどぼどぼと注ぎ クッと飲む 鯛の出汁と日本酒の旨みが五臓六腑に染みる つまみは気の利いたものより 素朴なものが合う 塩でむすんだおむすび 古漬けの茄子 ふろふき大根 寒い冬の楽しみ あったまるねと微笑みあって もう1口 また1口と飲みすすむ ぽかぽかの体のままぐっすり眠る 最高の冬の夜
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