イケメンに遭遇

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イケメンに遭遇

その後隣人に逢う事はなかった・・・・・ここへ住むようになって半年も逢わなかったのだからそう言われれば出かけない人なのかもしれない・・・・・あの日たまたま偶然に逢ってしまった・・・・・そういうことか。 このマンションの他の住人に逢う機会もほとんどない、エントランスでもエレベーターでもこれまで住人と一緒になったことも挨拶をしたこともない・・・・・ マンションは5階建ての各階2世帯・・・・・地下はジムとプールと温泉、一階は受付と集会室、娯楽室、2階から5階までに8世帯が住んでいる・・・・・ 部屋数は4LDKだけど俺だって一人暮らしだし住んでる人数は分からないがそう多くはないはず・・・・ そろそろこのマンションに住んで1年が過ぎ老夫婦、子供連れの女性、小さい子を連れた家族、年配の男性・・・・・入居者に逢ったのはこれぐらいだった。 軽く会釈をするぐらいで話すことはなかった・・・・・あの隣人にもあれ以来逢っていない・・・・・ 授業が終わって今夜の夕食の買い物をしてエレベーターを待っていた、ドアがいたので乗り込もうとしたとき出てくる人とぶつかってしまう・・・・・誰かが降りてくるとは思ってもいなかった。 慌てて「ワッ すいません・・・・」 そう言って一歩下がって顔をあげると自分より背の高い男の人だった。 ほっそりとして顔も小さくて色が白くて鼻がすっきりと高い、目も眉もくっきりとしていて視線があった時じっと見つめてしまった・・・・・ワッ!カッコいい。 服装も濃いグレーの濃淡のストライプのスーツを着ていてワイシャツは淡いピンクでノーネクタイそして靴は黒のウイングチップ・・・・・・一瞬でそこまでチェックしてしまう・・・・・しかもいい香りがした。 こんな素敵な人がこのマンションにいたなんて・・・・・・今まで逢わなかった時間がもったいないとさえ思ってしまった。 このマンションは発売と同時に完売したマンションだから同時に入居したはず・・・・・今まで1年半も逢わなかったのが不思議だった。 でも・・・・・よく考えると隣人にさえこれまで一度しか逢っていないのを考えるとそう不思議ではないのかもしれない。 エレベータの前で謝るのも忘れて余計な事を考えていると、その人が「気を付けて」 そう言って歩いて出ていった・・・・・・しまった・・・・・謝るの忘れてた・・・・・あぁ~~~あんなかっこいい人が住んでるなんて・・・・・・・もう一回逢えるかなぁ~~~無理だよなぁ~~~~ 何階に住んでるんだろう・・・・・独身かなぁ・・・・・仕事何してるんだろう・・・・・・名前何て言うんだろう・・・・・・ 怒ってなかったよな・・・・・次あった時「この前は」・・・・・って話しかけていいかなぁ‥・・・・・ 一瞬で頭の中は彼のことで埋め尽くされた・・・・・美人ならともかく相手は男なのに・・・・・美しいという事はそれだけで罪なのだ・・・・そう感じた。 そうだ、郵便受けの所へ行ってみよう。 部屋がわからないんだから名前なんて調べようがないのはわかったけど、一応行ってみた。 部屋の数だけ郵便受けが並んでいる・・・・・・俺の隣の奴は・・・・・・一之瀬? 俺は長谷部・・・・・そうやって改めて見るといろんな苗字が並んでいた、あの人はどれなんだろう・・・・ 部屋へ戻って買ってきて食材を冷蔵庫に入れる。 頭の中にはさっきのイケメンが居座ったままだ・・・・・ マンションって同じ建物の中に知らない人同士が暮らしているんだと改めて思う・・・・・縁もゆかりもない人同士同じ屋根の下に暮らす・・・・・四角い部屋の中が自分のテリトリーでそこから一歩出たらこの建物はみんなが共有する場所・・・・・・ それなのに顔も名前も知らないって・・・・・それはそれで仕方がないのかもしれない・・・・・それが都会のいいところで他人に干渉しない暮らしが好きなんだと思う・・・・・妙に仲良くなったからって所詮他人・・・・・・ このマンションに住んで2年が経った、俺は大学2年・・・・・友達もたくさんできたし授業も休むことなく出席して単位も順調・・・・・そろそろ将来の進路を決めて就活をする準備も必要だけど、俺には身内がいない・・・・就職すると言っても会社に就職するのは無理だと思う・・・・・ だから自立する・・・・・今やなんだってできる時代だ・・・・・資金がなければ個人投資家を探したりベンチャーキャピタルから資金を調達することになるがそこは俺的には資金は充分すぎるほどあるから問題ないとして・・・・・大学2年になる今俺は起業する事に決めた。
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