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俺はなれたのだろうか?
今日の文哉も素敵だった・・・・白いポロシャツに紺のジャケットを着てパンツは薄いベージュのチノパン、足元はスニーカーだった、ポロシャツのボタンは2個ほど開けていてそこから除く鎖骨が色っぽい・・・・
エレベーターに乗って1階のボタンを押す・・・・・並んでみたら背は少しだけ文哉が高いな・・・・・・それにしても足が長い・・・・・
1階に着いてドアが開くのと同時に文哉のスマートフォンに着信があった・・・・・文哉はジャケットの内ポケットからスマートフォンを出すと片手で操作をして話す・・・・空いた片方の手はパンツのポケットに入れたまま歩きだした。
後ろ姿もマジでカッコいい・・・・・・一体誰とどんな話をしてるのか気になって近づいてみる・・・・・・始めなに言ってるのかよくわからなかった・・・・・英語だった。
文哉は時々笑いながらネイティブな英語で会話していた・・・・・・仕事とかそんな話じゃないことは雰囲気でわかった・・・・・
俺だって英語は喋れるつもりだ・・・・・仕事では必須だし・・・・・・だが、文哉は違った俺の話せるビジネス英語じゃなくて普通に会話をしていた・・・・・・楽しそうに・・・・・
歩く速度をゆっくりにして文哉と距離をとった・・・・・颯爽と前を歩く文哉・・・・・・あんな彼と並んで歩けるわけがない・・・・・俺なんか子供すぎる・・・・・・彼は大人だった・・・・・出来る大人の男・・・・
俺はスーパーへ行く気も失せて今来た道を後戻る・・・・・途中から走ってエレベーターのボタンを押した。
涙が溢れた・・・・・俺なんて相手にしてくれるわけない・・・・・そう思った。
一緒に話したいとか電話したりする仲になりたいとか・・・・・10年早い・・・・・そう思った。
いつか一之瀬 文哉と対等に話せるようになりたい・・・・・スマートフォンの妄想アプリは削除した。
その日から俺は仕事にも今まで以上に集中した・・・・・・学生の気楽さを排除してこれで食べていくんだと言う気概を持って取り込むことに決めた。
そして自分磨きも心掛けた、お洒落するってことではなく身に着けるものに気を配る・・・・話す相手や年齢を考えて着るものを選ぶようにした。
もう学生気分を捨てる・・・・・・一人の企業家、投資家として振る舞う事にした。
一之瀬 文哉と対等に話せる男を目指した・・・・・・そしていつか一之瀬 文哉に・・・・・・文哉に・・・・・・・・・・・
・・・・・・友達として認められたい・・・・・そうだ親しい友人になりたいのだと思った。
俺はその日から無駄な外出をやめた。
そして一之瀬 文哉と逢えないまま・・・・大学を卒業した・・・・・・このマンションに来て4年が経っていた。
一之瀬 文哉に逢ったのは4回・・・・・俺の人生を変えた憧れの人・・・・・・一之瀬 文哉。
俺は少しでも文哉に相応しい男になれたのだろうか?
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