相応しい男

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相応しい男

ずっと想い続けていた文哉(ふみや)と一緒に居た。 「もう大学は卒業したんだろ?仕事忙しいの?」 「俺・・・・大学時代からやってた仕事を本格的に始めようと思って今共同創業者を募集しててその面接をもう1ヶ月もやってるんだ・・・・・でもなかなかいい人がいなくて・・・・」 「学生時代に起業するってすごいね、どっち系の仕事?」 「WEBコンサルタント事業なんだけど一度やってたのは売却して卒業してから本格的にやろうと思ってて、でも一人じゃ無理だから共感できる人を探してたんだ・・・・・それと投資事業・・・・・こっちは一人でなんとかやれてる」 「それ俺も面接受けてみようかな?ダメかな?俺以前友達と同じような事業しててその時は政治家と市民のコミュニティーアプリみたいなのだったんだけど、やってるうちに方向性の違いを感じて・・・・今は他に探してるところだったんだ」 「文哉・・・・それほんと?一緒にやろう・・・・・いややってほしい・・・・・俺とじゃダメかな?」 俺は文哉に今までの事業の事そしてこれからの夢や自分の考えを一気に話した・・・・・夢中で話した。 聞いてほしかった・・・・・俺の考えていることややりたい事全部を文哉に聞いてほしかった。 話し終わって文哉は俺に言った。 「駿・・・・君の考えてることもこれから先やりたいこともよくわかった・・・・俺でよかったら是非一緒にやらせてほしい」 「うん!文哉ありがとう・・・・・・やっと欲しかった人材に逢えた   さんざん面接したのにすぐ近くにいたんだね」 「それにしても長く逢わなかったね・・・・・・最後に逢ったの覚えてる?」 「俺あの日の事覚えてる・・・・・絶対忘れない・・・・・あの日があったから今こうやってるって感じ」 「俺が電話終わって振り返ったら駿はマンションへ帰って行ってたんだけど・・・・・」 「そう・・・・・そのまま部屋に帰った・・・・・」   そして泣いた・・・・・文哉にふさわしい男になるってあの日決心したんだ・・・・・・ 「どうして?」 「教えない・・・・・ところであの人は?いないの?」 「あの人・・・・・?って?」 「黒縁メガネの人・・・・・」 「だれ?黒縁メガネって・・・・?」 「ずっと前にこの部屋から出て来た人・・・・・髪ぼさぼさで黒縁メガネかけてた男の人だけど」 「あぁーーーー思い出した。駿と始めて逢った時の事・・・・・あれ俺」 「エッ・・・・俺って・・・・・・あの人文哉?」 「そう変装してた・・・・・・あの頃アプリ開発やってて・・・・・・人は見た目でどれくらい違う反応するかって調査してみようと思って実践しに行くとこだったんだけど・・・・・駿の視線が一番分かりやすかった」 「ひどい・・・・・俺ずっとあの人がここに住んでるって思いこんでて・・・・・文哉との関係とかいろいろ想像してたのに・・・・」 「なにそれ・・・・・そんなこと思ってたんだ・・・・・面白い」 「もういいよ・・・・・俺帰って風呂入る・・・・・文哉ありがとう。月曜から一緒に仕事しよう」 「わかった、明日日曜だから夕食でも食べながら打ち合わせしよう」 「うん でもほんとに一緒に仕事できるんだ・・・・・よかった」 俺は部屋に帰って服を脱ぐと風呂に入った・・・・・・熱い湯にゆっくりと入って文哉の事を考えていた。 あの日泣きながら帰って文哉にふさわしい男になるために頑張ってきた・・・・・・いまそうなれたのかどうかわからないけど・・・・一緒に仕事が出来るところまで来たって事はそうなれたのかな~~ 文哉は俺の事をどう思っているんだろう・・・・・・始めて逢ったあの日から・・・・・隣人が憧れの人になって一緒に仕事をする仲間になった・・・・・俺少しは文哉に近づけたかな・・・・・・ 日曜日の昼下がり目が覚めてすぐに文哉の部屋のドアをノックした・・・・・電話番号もまだ知らなかった。 部屋へ行くと文哉は昼食を作ってくれた・・・・そして食べ終わると俺が持ってきた資料をすべて見た。 これまでの資料も含めて投資事業の事も全て知ってほしかった・・・・・文哉は見ながらウンウンって言いながら資料を見ていく、疑問な事・・・・質問・・・・全て答える・・・・そして改めて自己紹介をした。 文哉の歳は俺より6歳上だった・・・・・俺と同じで両親がいない事、大学時代から友達と一緒に起業をした事・・・・・このマンションは自分で選んで決めた事、高層マンションよりゆったりとした作りと環境が気に入ってここに決めたと言った・・・・・それって全部俺と同じ考え・・・・・ このマンションに来て初めて会ったあの日隣に住んでるのが大学生だと分かって少し安心した事・・・・・・あの日変装した自分を驚きの目で見ていたのが忘れられないと笑った。 2度3度と逢ううちに親近感が芽生えた事・・・・・・でもその後逢う機会がなくて寂しく思っていたと言った・・・・・最後に逢ったあの日電話が終わって振り返ったら俺が帰っていくところだったのが妙に気になっていたこと・・・・・ あれ以来ずっと逢える日を待ち望んでいたと言った・・・・・ 4年でたった4回逢っただけの文哉と俺だけど明日からはずっと一緒だ・・・・・朝から職場も一緒・・・・・終われば帰る場所も一緒・・・・・ 文哉と並んで歩ける日がやっと来た・・・・・・憧れの文哉・・・・・・もっともっと文哉に近づけるように・・・・・そしていつか・・・・・ 完
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