魅惑のびぃーのろっそ ～ミニブタとウサギ（rosso）～

１．

　二人の人間は、ワイングラスとワインボトル、水炊きの鍋、食器など、ローテーブルの上にあった全てのものを、ダイニングテーブルに移動させてしまった。
　ダイニングテーブルは、二匹がよじ登るには高すぎる。
　椅子の上に登ればそれができるが、椅子の上に登ると叱られることを、ミニブタとウサギは熟知していた。
　この家のミニブタとウサギは、よく躾けられているのだ。

「ふう。これでご飯が食べられる」
「とんだハプニングだったね」
　ミニブタとウサギは、床の上から物欲し気にダイニングテーブルを見上げた。
　二人の人間は、二匹がどんなにねだっても、自分達が食べたり飲んだりしているものを分けてくれることはない。

　ミニブタとウサギは、ダイニングルームから出ていった。向かったのは、奥にあるもうひとつの部屋…、人間達の寝室である。