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「一つ聞きたいことがあるんだけど」
間もなく花火が上がる時間となり、二人は花火が見えやすい場所で待機していた。
そんな時、ふと聞きたかった事を思い出したのだ。みる香の唐突なその言葉にしかし一琉は優しくどうしたのと聞き返してくれる。彼のその言葉を聞いてみる香は再び口を開いた。
「私の事、いつから好きになってくれてたの?」
三学期の終業式に初めて彼に気持ちを打ち明けられ、本当に驚いた。
自分は完全に片思いで、一琉からの感情は友情以外ないものだと思い込んでいたからだ。
だからこそ、彼がいつから自分の事を好いてくれていたのかは気になるところであった。何度思い返しても、どこから好かれていたのかの見当はつかなかった。
すると一琉は「ようやく聞いてくれたね」と嬉しそうに口を溢すと笑みを向けながら「少なくとも去年の夏祭りは君に惹かれてたよ」と言葉を返した。その一言にみる香は目を見開かせる。
「……えっ!!? ほんと!?」
「ホントホント。だからこそ去年君を夏祭りに誘ったんだよ。あとこれ今だから言っちゃうけど、みる香ちゃんを友達として意識したことはないんだ」
「ええっ!!!?」
「ごめんね。だから君と親しくなり始めた頃にはもう、俺は君の虜になってたって事でさ」
「……それって…………」
一琉が突然誘ってきたデートを思い出す。
あの時は久々原との一件から異性と二人きりで出掛ける事に過敏になっていたみる香だが、あの時から一琉は今までと違った行動をする事が増えていた。一琉はみる香が何を思い出したのか分かったように口元を綻ばせながら言葉を告げる。
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