大学病院と町医者

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「あ、すみません。あまりにもN先生に言われていたことと違うことが書かれていたので、つい声が出てしまいました…………」  私が謝罪の言葉を述べると、職員さんは笑顔で首を縦に振ってくれた。 「では、まずは視力や眼圧など基礎的な検査をさせて頂きますので、しばらくお待ちください」  私はそう促され、再びベンチに腰を下ろした。 「えふえふさん。中へどうぞ」  私はそう促され、検査室の中へと向かった。まずは眼圧測定。いつものように丸椅子に腰を下ろし、目の前の機材のあご台にあごを載せる。プシュッという音とともに右目に風が当たる。その後は同じようにして左目の測定だ。 「左が16、右が17ですね」  眼圧は以前に比べて下がっているようだ。私は隣の機械へと移動するように告げられた。 「次は視力検査です。まずはこちらの気球をじっくりご覧ください」  言われるままに丸椅子へと座り、画面に映った気球を眺める。ぼやけた気球の映像が徐々に鮮明になっていくと、今度は左目の検査へと移った。あっという間に検査が終わり、今度はまた別の丸椅子へと促された。 「ではこちらの機械で視力検査を行います。穴がどちらの方向にあいているかお答えください」  裸眼のまままずは視力検査を行う。結構大きめのランドルト環も見えていない。おそらく今回も視力は0.1以下は確実だろう。すると今度は度入りのレンズがセットされたのか、はっきりと見えるようになった。ある程度見えなくなったところで再度レンズの交換がなされ、かなり小さな輪っかの検査が終わったところで声をかけられた。 「右目、終了です。矯正後の視力は1.5ありますので、心配は無いですよ」  検査を担当してくれた看護師さんがそう告げてくれた。目薬をさしてからというもの、かなりぼやけた状態が続いていた。薬の副作用がかなり出ているのではないかと危惧していただけあって、少しだけ安心した。 「次は左目です」  看護師さんからそう告げられ、今度は同じように左目の検査を行う。裸眼の状態から始まり、レンズがセットされた状態、レンズに若干の修正が加えられた状態で検査を行った。 「左目も終わりました。矯正視力で1.2出ていますから、こちらも心配いりません。ではこれから目のお写真を撮りますね」  看護師に促され、病院奥の暗室へと促される。撮影機の前へ座り、あごを台の上に載せた。 「では右目から撮影しますね。緑のマークをご覧ください。では撮影します。はい!」  フラッシュが焚かれ、右目に白い光が走る。 「それでは左目行きます」  右目と同じように撮影機の緑の光を見つめて暫くすると、再度白い光が走った。 「それでは撮影は終わりです。これから診察になりますので診察室前のベンチでお待ちください」  私は看護師に促され、診察室前のベンチに腰を下ろした。  どんな結果が言われるかはわからない。  でも、とにかくこれで前に進める。  私は自分にそう言い聞かせ、拳をぎゅっと握った。
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