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骨董屋『孔雀堂』にて
「ま、こんなもんやね。」
遠田が差し出した小判に対して、十津川は電卓で四桁程度の金額を示した。遠田が渋い顔をしているが、十津川がお構いなしにレジに向かって提示した金額を現金で用意した。
「そな溶かすしかない金より、おもろいもん、今回は無いの?この間のテープみたいな。」
遠田は首を横に振り、それに対して十津川はあっそとだけ答えた。その代わりにと恰幅の良いエプロン姿の男が会話に加わった。
「あれ、五万で売れたで〜。またよろしく!」
店主のサコは壺を並べながら笑顔で教えて、それを聞かされた遠田は自分に渡された金額を思い出して十津川を睨んだ。十津川は無視してバックヤードに消えた。仕方なく遠田は代わりにサコに苦言を呈した。
「あれはかなりマズいやつが憑いていた。ちゃんと伝えたのか?」
「入手経路みたいなことはちゃんと話したで。あとはお任せや〜。」
遠田にとって、この店は彼の生活に必要な収入源をつくってくれる貴重な場所だ。どれだけ雑に扱われてもこれ以上強くは言えないので、せめてもの抵抗として溜息だけをついた。
「安心せえ。ちゃんと扱えるヤツに渡したで。」
裏から十津川が声だけ返してきた。サコが続ける。
「うちにとってもかきいれ時になるから、色々見つけてきてください、お金は用意しておくんでね。」
仕方なく、遠田は頷いた。
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