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「それならしばらくここに泊まりなさい」
「え、いいんですか?」
「もちろんよ。ここは民宿なのよ? でも、今後どうするのかは二人自身で決めるのよ。いいわね?」
「はい、もちろんです! お世話になります!」
頭上げなさいよ、と笑っているロロ。心が広いというか、お節介なところも彼の良いところの一つだと思っている。白山さんもほっとしたように微笑んでいた。不安そうにしていたのは恐らくそれ以上に何か突っ込まれると思ったのかもしれない。
軽く聞いただけなので二人がどんな生活をしていたのか、何から逃げて来たのか明確には分からないけどなんとなくは想像できる。ロロの言ってた『話を聞いてあげてね』という言葉を思い出していた。
「ねぇねぇ、明日二人で買い物行くのよね?」
「あ、ふぁい。そうですよ」
「じゃあ、四人で女子会しない?」
「ふぇ?」
話が綺麗にまとまったと思っていたのだが、今まで口を閉ざしていた葉流さんが突拍子も無いことを言い始めた。改めて唐揚げを食べていた黒川さんは目が点になっている。
それもそのはず、四人となるとあと一人は誰なのだろうか。私も口を動かして様子を見ていると、「ね、ルナちゃん?」と私の方へ視線を向けた。
「え。わ、私?」
「そうよぉ? えーと、楓ちゃんと紅葉ちゃんとルナ、そして私!」
「いやいや、私はいいですよ。別に、洋服とかは……」
突然向けられた視線にオロオロしてしまう。視線が泳ぐというか、周りの視線から逃れたいがあまり声も小さくなる。必死に拒否するが、「えールナちゃんの可愛い服見たーい」と甘える声で抗議してきた。
どうしよう。こうなると彼女は止められない。さすがに黒川さんか白山さんが拒否すると思い視線を送った。
「いいですね! しましょ、女子会!」
「え」
「でしょー? 紅葉ちゃんはどう?」
「わ、私も参加したいですっ」
「だよねぇー! じゃ、決定! 明日九時に迎えに来るからよろしくぅ!」
「え、あの」
私の声は誰にも届かないらしい。せめてでもロロは否定してくれると思い隣を見るが、プイッと顔を逸らされた。いつもだったら困るって言うくせに。こんな時だけ葉流さんと仲良くなるのはずるいと思う。
じっと睨んだが気づかないのか、それとも気づかないふりをしているのか、「楽しそうねぇ」とぼやいていた。
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