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全国の観光地に360°景色を映す定点カメラが設置されている。
VR旅行を申し込むと、ゴーグルや機材が申し込み日数に応じたレンタル期間で送られてくる。
そして、それらの機材を使い、プランに応じた観光地のカメラと接続することができ、まるでその場にいるような臨場感を味わえる、とのことだ。
料金は格安で、機材のレンタル代と、手数料がかかるだけ。
手数料は、国によってはある時差をそのままにリアルタイムでVR旅行を楽しむか、録画された映像を使って時差や天気など関係なくVR旅行するかで異なる。
私は、手数料の安い録画映像のものを選んだ。
「これをここに繋いで…」
VR旅行用の機材を、室内に設置する。
観光地にある建物に触れた時の触感を再現するコントローラーや、映像の音源を立体的に再現するスピーカーなど、色々な物が段ボールに梱包されていた。
最後に、コンピューターとスクリーンがひとつに内蔵されたゴーグルを起動させる。
説明書に目を通し、私は手順通りにVRゴーグルをつけた。
機能が多いのに、ゴーグルは軽量で、着け心地がいい。
これなら長くつけても疲れなさそうだ。
ゴーグルが起動すると、目の前にイタリアのローマの景色が広がった。
「うわ…!」
まるで自分がその場にいるかのような感覚に襲われる。
VRゴーグルをつけて映像を見ているだけだけど、触れることができて、音も立体的に聞こえて、まさしく仮想“現実”だ。
景色や観光地にいる自分の姿を、写真に収められないのは残念だけど、特産品や名物はネットで取り寄せできるし、観光したいということなら十分すぎる。
その場で歩くと、映像が切り替わる。
家の中を歩いているだけなのに、イタリアの街並みにいるかのようだ。
今、全国で流行していて、海外でも類似のサービスが提供されている理由がよくわかる。
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