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迎えた京都旅行当日、交通機関は混んでいた。
それに比例して、駅のホームも人でごった返している。
キャリーバッグを持って移動する人が多く、旅行解禁の影響だろうと思った。
移動しづらいことを想定し、荷物をリュックに詰めて来てよかったと思いながら、人混みを縫って移動する。
駅や電車内でもそうだったのだから当たり前だけれど、観光地はどこも人が多く、後ろから押されたりするせいで写真を撮る余裕は全くなかった。
神社仏閣を見ながら食べ歩きでもしようと考えていたけど、道の脇にあるお店に立ち寄ることさえできず、人混みはひとつの生き物のように、同じ方向に進むことしか許されなかった。
どこもそうだったのだろう。
旅行解禁から1ヶ月ほどして、再びVR旅行に火が付いた。
「観光地、人多すぎて疲れる。ホテルの予約取るのにも必死になったけど、VRならそんな煩わしさないんだよな」
「VR機材のレンタル料、ホテル代より安くて笑ってる」
「煩わしくてお金もかかるなら、旅行わざわざ行かんくてよくない?」
SNSでは連日そんな声が投稿され、バズる投稿は数万いいねがついていた。
現実の旅行は手間がかかってお金もかかる。
仮想ならレンタル料がかかるだけ。
そんな考えが共感を集め、旅行解禁から1ヶ月で、観光地は再び人の足が遠のいていった。
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