Two Flower

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「……なんなんだよ、あいつは……って、今……笑った?」  キスのあと、確かに椿の声音はからかいを含んでいたし、今は笑っていた。それはつまり、椿の心が多少なりとも動いたという証明ほかならない。  なんだよ。  ちゃんと笑えるんじゃんか。  椿の態度や物言いはおおよそ気に入らないし、いきなりキスをしてくるなんて何事だとも思う。けれど、そんなことよりずっと、椿の心が生きていることのほうがうれしいなんて、大概どうかしている。 「あ、イチゴミルク……」  結局、買いそびれてしまったが、イチゴミルクよりも椿のくちびるのほうが甘かったかも? などと考えて、葵はぶんぶんと頭を振った。
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