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「本気じゃないとだめなの?」
「は? 母ちゃんまで、なに言ってんだよ!」
「だって別に付き合ってほしいって言うわけじゃないんでしょ? きちんとお付き合いする前に、お試しとしてデートに誘うのは少しも悪いことじゃないと思うけど」
紫陽子の言うことは確かに一理ある。しかし、葵が言いたいのはそこではない。
「そういう考えもあるかもだけど。なんていうか、お遊びなんだよ。デートに申し込んで成功するか失敗するかみたいなことをゲーム感覚でやってるわけ。でさ、それをハッシュタグまでつけて投稿するんだから」
「それは……酷いわね。お相手の方だって嫌でしょうに」
「そう! そうなんだよ! でもさ、あいつはそんなのちっとも気になりませんて顔しててさ」
「ふふ。葵が気になるのね」
「っ、べ、別に、俺はあいつのことなんかどうでもいいんだけどっ」
キスのことを思い出しカッと耳が熱くなる。それをごまかすようにカレーをかきこみ、ぐびぐびと水を飲む。タン! と、コップをテーブルに戻し、葵は慎重に言葉を選び紫陽子に問いかけた。
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