Three Flower

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 もしかしたら、葵が手を伸ばさずとも椿は避けていたかもしれない。でも、そんな保証はどこにもなく、頭で考えるより先に手が伸びていた。目の前の誰かを助けることは、葵にとっては当たり前のことで、だから怪我をしたとしても椿を責めるつもりは少しもなかった。 「それにお前も言ってたじゃんか。女の子が取り囲んでたせいでボールに気付くのが遅れたって、お前そう言おうとしてただろ。そりゃ、もうちょっと早く気付いてたら俺だってもっと華麗に、」 「よくしゃべる口だな。病院で縫ってもらうか?」  チラッと椿が葵のくちびるを見る。その視線にキスの一件を思い出し、葵は慌ててソッポを向いた。
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