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「……またお前か」
面倒くさそうな声をだす椿に、葵はいきなりガバッと頭をさげた。
「ごめん! 俺、デートチャレンジのこと知らなくて、だから……えっ?」
だからごめんと、もう一度謝ろうと頭をあげた時にはもう椿の姿は目の前になく、大股で校門へと向かう背中がどんどん遠ざかっていく。
なんだよ!
「おい! まだ話は終わってねえぞ! おいって! 人の話聞けよっ」
サッカーで鍛えた脚力をいかし、猛ダッシュで椿に追い付くと、葵は前に回り込んで両手を広げた。
「お前! 人の話はちゃんと聞けよな!」
びしっと人差し指を突きつけられ、いよいよ椿のほうはため息しかでてこない。
「簡潔に話せ」
「昼間のアレ。デートチャレンジってやつだったんだろ。俺、知らなくて、だからお前に酷いこと言った。ごめん」
「……」
「あれは女子のほうが悪いよな。お前、わかってて付き合ってやったんだろ。だから、お前のほうがずっと優しいし、」
「話はそれだけか?」
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