28人が本棚に入れています
本棚に追加
二人きりの帰り道
そして放課後…
支度を済ませ顔を上げると悠真とばっちり目が合う。
「凜!帰ろうぜっ!」
この一瞬が恥ずかしくてたまらない。
嬉しいのを必死で抑えながら適当に返事を返せば前にいる悟が振り返りニコニコ笑いながら「頑張れ」と口パクで伝えてきて余計に恥ずかしくなる。
「んふっ…じゃあおっ先ぃー!!」
「あっ、悟っ!?っんだよあいつ…最近付き合い悪くね?」
「彼女でもできたんじゃね…?」
「えっ!まじかよぉーっ!」
適当な嘘をついて教室から出ると、悟の彼女ってどんな子だろうな、なんて興味ありげに聞いてくる悠真は、やっぱりどう考えても女が好きなわけで俺が入り込める隙なんて1ミリもない。
「頑張れ」なんて言われたって何を頑張ったらいいのか。
俺はそんな事をぼぉっと考えながら、缶コーヒー片手にポケットに手を突っ込み歩く悠真を無意識に見つめていた。
相変わらず今日もかっこいいなぁ…
「ん?飲む?」
「あっ、いや……うん…////」
あまりにもじぃーっと見ていたのが物欲しそうに見えていたのか、悠真が缶コーヒーを俺の目の前に差し出してきた。
俺はなんでもないような素振りで悠真が飲んだ後の缶コーヒーを口に含む…
前まで普通に出来た事も意識すればするほど恥ずかしくて、それを悟られないように何でもない振りするのが精一杯だった。
最初のコメントを投稿しよう!