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 独りでいたなら、布団を跳ね上げ思う存分(いた)すのだが、ベッドの下には弟がいる。  (しょう)は後ろめたい気持ちでそっと股間へ手を滑らせた。潤み始めた先端へ触れ、辞めるか続けるか……下から聞える幼い寝息を探った。穏やかに繰り返すそれは将を(そそのか)す──  腰を浮かせて蠢かせながら、勃起を握り緩いストロークで扱いた。妖しい官能の騒めきが下腹を中心に湧き起り、将の口唇から甘い吐息が洩れた。   (ヤバ……雛太(ひなた)が起きちゃう──)  声を殺したことで余計に淫らは燻るようで、追い立てられる具合に手の動きが速度を増した。動かすまいと抑えているはずが、何時の間にやら小刻みに腰が振れていた。今や絶頂を極めようとしていたその時、   「お兄ちゃん、何してるの──」  唐突に雛太の声が将の耳元で発ち、ベッドの縁から顔を覗き込まれた。    飛び上がるほど驚いた将は慌てて背中を向け、『何でもない』と呟きながら雛太の視線から逃げた。   「何でも無くなんか、ないよ」  言葉と共に布団を剝がれ、下着ごと大腿(ふともも)まで下げたパジャマと、著しく主張した勃起を暴かれてしまった。   「何すんだよッ、バカ」  慌てて其れを隠そうと身を捩ったが、好奇心一杯に瞳を輝かせた雛太の手に掴まれていた。   「バカバカ、放せバカ──」  起き上がった将に瞬時ビクリ──と身を竦ませはしたが、雛太は勃起を放さなかった。   「バカって言う方がバカなんだよ」  下らない子どもっぽい口答えと共に、雛太の幼い口唇から現れたやけに妖艶な赤い舌が、将の先端から溢れた淫蜜をぺろり──と舐めとった。   「バ……」  バカと叫び抵抗しかけた将を嘲笑うように、其れはすっぽりと雛太に銜えられてしまっていた。    将にとっては生まれて初めての口淫で、その衝撃に只々戸惑うばかりだった。   (なんで、雛太がこんなことしてんだよ?)  将の脳裏に『何で? どうして?』が駆け巡ると同時に、身体の方は抗い切れない快楽へ堕ちて行った。
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