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その夜を切っ掛けに、二人の秘密の遊びは習慣となって行った。
将の気持ちの何処かには後ろめたい思いが付きまとうのだが、雛太の方はそんなこと思いもしないようで、夜毎兄に要求を向けて来る。
断れずに従う将は、自分がされたように雛太の幼い陰茎に奉仕していた。余分な包皮に守られるように隠れていた亀頭を剝き出し、口唇に挟んで吸ってやると、途端に小さな尻を振り、将の髪の毛をか細い指で掻き乱しながら呆気なく果ててしまう。
ベッドに俯伏せになり、股間をシーツに擦り付け余韻を愉しんでいたのだろう雛太は、その夜、新たな要求を将に強請った。
「お兄ちゃん、セックスしたことある?」
突然向けられた衝撃的な問い掛けに、目を瞠った将が返事を言い淀むと、
「したいでしょ? セックス。僕が練習させてあげる……」
ゆっくりと起き上がり、将の腹に跨った雛太はフフフ──と笑い、隆起した将を掴むと身体をずらして蕾穴に当てた。
「……だ、駄目だよ……よせ──」
言葉で拒絶はしたものの、将は雛太を跳ね退けることも出来ず、己の勃起が可憐な蕾に飲み込まれて行く様を茫然と見送っていた。
漸く何かが可笑しいと将が気付いた時は、義弟である雛太ともう後戻り出来ない関係になっていた。
夜毎将を求めて止まない雛太は、まるで盛りの付いた猫だった。
と、そんなことを思うようになると、気付くことがあった。
父親宛てに届いたパソコン周辺機器の梱包材に、雛太が妙な執着を見せ、
母親が勝手口の外に出したそれを拾って来たかと思うと、将の部屋に持ち込み、随分大事に隠していた。不思議に思った将だが、気付かぬ振りをしていると、ある日、それを取り出し喉の奥を鳴らしながらガリガリと掻き毟っていると言う不思議な姿を目撃した。
ある時は、窓の外を眺めて随分熱心に何かを観察する姿が有り、将が背後から窺っていると、何やら小さく顔を振っている。近付いてそれがなんであるか判ると愕然とした。
雛太が喉を鳴らして一心に目で追っていたのは、珍しくも無い一匹の小蝿だったのだ──
母親が風呂の準備をするのに水栓を捻れば、雛太はすっ飛んで行って浴槽に溜まる水をジッ──と凝視める……
(猫だ──)
雛太のそんなの様子はまるで猫だった。
『猫って、生まれて半年も過ぎると発情期が付くのよね。早いのは四ヶ月もするとニャーニャー煩くって……』
幼い頃、幼稚園の帰り道、野良猫を見掛けた母親が顔を歪めてぼやいた姿が将の脳裏に過ぎった。
将の腹に跨り怒張を咥え込み、盛んに尻を振る雛太を抱き寄せ、くるん──と身体をひっくり返した将は、白くへこんだ腹に、見覚えのある傷痕を見付け、あんなに執着していた猫が初めからいなかった……とでも言うような雛太の認識に合点が行った。
次第に歪む頬は自分ではどうにもならず、将は背筋に厭な汗が滲む思いで、細く絞られた雛太の瞳孔を凝視めた。
🐈お わ り🐈
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