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ケイ・フォルクは今年研究所に勤め始めたばかりの新人研究員だったが、真面目で明るく、薬品の名前や効能を覚えるのが得意だったので、研究所では可愛がられていた。
ケイの勤める研究所は生物の環境適応力を上げる実験や薬を開発する所で、動物の生態にも詳しくないといけないのだ。
研究員の中には、元獣医だという者も何人かいて、ケイは元獣医の研究員の話を聞いて、動物の生態を勉強した。
ケイがここの研究員になったのは、兄弟のようにして育ってきた犬がいたのだが、どうしても先に逝ってしまう犬の死が受け入れられなかったことと、たくさんの動物が長生きしてほしいと思うようになったからだった。
もちろん今もその思いは消えないが、動物への向き合い方を学ぶことによって、少しずつ考え方も変わってきたと思っている。
ただ、研究所で動物に対する実験や薬物投与が、普通の物とは違う感じがした。
薬物のアレルギーなのか、ひどい皮膚病のような症状が現れ、異常なほどに攻撃的になり、そして生きている草食や雑食動物に興奮するという前例のないものである。
動物が大好きなケイは心を痛めたが、研究員達は「実験に犠牲はつきもの」と気にも留めない。
それはケイに疑問を持たせている。
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