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「みよちゃんは、何かない？」
「ん・・・根っこの話かな」
「政略結婚のこと？」
「決まっているのなら、みよと付き合うのはロスにならない？」
「それはもう解決済みだよ」
「解決済み？」
「政略結婚だった両親を見てきたからかな
気持ちがなくても結婚をして跡継ぎが生まれればそれでお役御免って
結婚に対してそういう風にしか思ったことがなかったんだ」
「なんだか可哀想」
「気が変わった、一度きりの人生だから
大好きな人と死ぬまで一緒にいたいって思えるようになった
それに、政略結婚が必要な経営はしていないからね」
「普通の考えに行き着いたってことだね」
「それを教えてくれたのは、みよちゃん」
「なにも教えてないけど」
「みよちゃんを好きになって
どんどん欲張りになってる」
「フフ」
「いや、みよちゃんって政略結婚の相手に不足はない程、お嬢様だって思うけど」
「・・・ん、違うと思う」
「ハハハ、みよちゃんのそういうとこ
めちゃくちゃ好き」
「好かれ過ぎてない？」
「覚悟してね、俺の愛は山よりも重いはず」
「みよが潰れちゃうじゃん」
「あ、そうか、潰しちゃえば
永遠に俺のそばにいてくれるのか」
「怖っ」
「嘘ウソ、本音だけど、本気では潰さないから安心して」
「当然です」
どちらも末っ子で打つかり合っていた彬と違って
一人っ子の院長はやっぱり穏やかな雰囲気にさせる名人で
それが“好き”かと聞かれたら
曖昧な境界線に立っている気分でしかない
「みよはね、まだ高校生なの」
「うん。知ってるよ」
「だから、結婚とか、将来とか
まだまだ先の話だと思ってる」
「それは分かるよ」
「これから大学生になってやりたいことも沢山あるの
だから束縛とか結婚とか、重いのは嫌」
「誰を対象にしているのかは聞かないことにするけど
俺の大学生の頃を思い出してみても
同じ気持ちだったから・・・
そこは心配しなくても大丈夫、ただ」
「ただ？」
「根底にある気持ちがブレなければ受け止められるよ」
「根底にある気持ちって」
「ひとつだけ・・・
相手だけを想う揺るがない気持ち」
ここでも真逆の思いを聞かされて
堕ちない訳がなかった
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