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エピローグ
生まれてから20億年余り。その間にこの神と何百回、何千回、何万回、番い合っただろうか。
それでも新しい子供は生まれない。
この行為に意味なんてあるのか無いのか。それすらもう分からなくなっている。
天界の誰も、私たちの間に子供が生まれることなんて期待していないだろう。いや、それどころか、もう子供がいないことすら忘れ去られているかもしれない。
互いに同じ階級にあるのだから、番う事で神気を分け与える、などと言うこともない。
それでも彼が「もう止めよう」と言わないから、止めないでいるだけ。
「……フレイ」
彼の名をそっと呼ぶと、ナイトドレスの紐を解こうとしていた手が止まる。金色の瞳がこちらを見つめ耳元で囁き返してきた。
「何だいリアナ?」
呼んでみたのは良いものの、自分から「いつまで続けましょうか?」なんて、怖くて聞けなかった。
答えを聞いたら、今あるほんの僅かにでも残っている希望が、全て消えてしまいそうな気がしたからだ。
「いえ、やっぱり何でもないわ」
「……そう?」
少し訝しげな顔をしたが、直ぐに気を取り直したフレイはリアナに口付けをして、神気を流し込んだ。
今夜もまた、番い合う。ほんの微かな希望を抱きながら。
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