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視界が広くなり、右腕の感覚が戻っている。
エレノアはそれを了承の意とみなし、誓いを立てる。
「風の神セフィロス様。この命が尽きるまであなたに忠誠を誓い、お仕えすることお許しください」
セフィロスがエレノアの額に手を当てる。
「許す。其方に私の色と悠久の時を与えよう」
身体の中を、ゾクリと何かが這うような感覚がした。
エレノアは元々金色の髪なので、色を貰えたのかどうか分からない。瞳の色はもちろん、自分では見えない。
ただ、いつもは神通力でしまってある背中の羽根から、風の神気が直接流れ込んでくるのは分かった。
「お前は変わり者だな。私の守護天使になろうなんて者は初めてだ」
「それはみんなに見る目が無いからですよ」
エレノアはイタズラっぽく笑う。
この先何千年、何万年とこの神と一緒にいられる。その事がただ嬉しかった。
この後、地獄の稽古が待っていることを思い出したエレノアの叫び声が、風の神殿に響き渡った。
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