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ちらりと窓の外を見ると執務室に入った時には登ってきたばかりだった太陽が、いつの間にか空高い所まできている。羽根ペンを走らせる手も、1度も立たずに座り続けている腰ももう限界。書類も半分くらいは捌けてきたし、そろそろティータイムでも取ろうかしら。
すぐ側のテーブルで同じく書類を捌いているドレイクに声をかけようとした瞬間、ふと自分の中の違和感に気づいた。
……何かしら、この感覚。ずっと昔に感じた事があるような……?
自分の身体に満ちる神気とは別のエネルギーを、腹の奥底に感じる。それはまだ小さく弱々しいものであるけれど、確実にそこにある、と感じられる。最後にこの感覚を覚えたのは何億年前だっただろうか。
ああ、そうか。これは……。
腹に手を当て静止しているリアナを見て、ドレイクが不安げな顔で尋ねてきた。
「どうかなさいましたか?お加減でも悪いのでしょうか?」
神なんだからそうそう具合が悪くなるなんてことはないし、自分は癒しの力も使えると言うのに、よほど変な顔をしていたに違いない。
ドレイクの方を向いて安心させるようにニコリと微笑み、そして告げる。
「私、妊娠したわ。」
「は?」
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