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「リアナ、僕も立ち会って大丈夫なのかい?」
出産の準備をし始めて小一時間程した頃、大急ぎでフレイがやってきた。
「もちろんよ。自分の子が生まれるところに立ち会う男神なんて、レアよ」
「確かに、もう20億年以上生きてるって言うのに聞いたことないなぁ」
2人で呑気なやり取りをしていると、いよいよ堪えきれなくなってきた。自分の意思とは関係なく、腹の中のものが外へ外へと突き破ろうともがき暴れている。
「あぁ、もうだめ。これ以上耐えられない……っ」
両手を前にかざして息を吸い、意識を腹から手のひらへと集中させる。
ドクン、ドクンと腹にあるエネルギーの塊がいっそう強く脈をうち、激しくうねりだす。一刻も早く外に出してしまい。
早く、早く、早くっ!!
リアナがかざした両手から眩い光が溢れだし、6つに分かれたかと思うとあっという間に玉の様に丸くなった。
肩で息をしながら固唾を飲んで見守っていると、その内の最も大きな光が徐々に人のような形を成す。
徐々に光が収まりそこに居たのは、人で言えば5歳位と言った見た目の少女。
思わずゴクリ、と息を呑んだ。
恐らく少女の姿を見て固まってしまったのは自分だけじゃない。
――あまりにも美しすぎる。
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