皇帝は鄙びた娘を依怙贔屓する①

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皇帝は鄙びた娘を依怙贔屓する①

 かつて圧政により大陸を支配していた王国は終末を前に50を越える部族に分裂し、ひしめき合い、各々の野望と欲望にまみれ戦乱の一途を辿っていた。  それらを圧倒的な知略、戦略を持って統治した部族がある。  黎族(れいぞく)の年若い(おさ)は長きに渡る戦乱の世を治めるため人生の大半を賭して全土を1つの帝国に(まと)め上げた。  黎族の長は数ある部族の頂点に立ち、麗祥国(れいしょうこく)と名を改めた国の初代の皇帝となる。    当時黎族と志を共にした部族は五つ。  麗祥国の花と称され、藤・梅・桂・菫・蘭の名を冠することとなる。  以後麗祥国の皇族と花の名を持つ5つの部族は400年に渡りこの大陸の安定を担って来た。  今や他の追付いを許さない超大国としてこの世に君臨している。    戦乱の世を憂いた黎族と誇りを共にした五花家が、数多(あまた)の犠牲と引き換えに得た繁栄の元、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう敬愛の念を持ってして統治している間はこの栄華も続くのであろう。      
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