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第四話(襖閉めたの誰?)
高校時代の夏休み。
遊び過ぎて成績が悪かった俺は、夏休みの課外授業に引っ張り出されていた。
とは言え遊びみたいなモンで、学校に来てるのは顔馴染みばかりだった。
そんなこんなでお昼前には授業も終り、友人宅に夕方から麻雀をやる約束をして帰途に着いてしばらく。
帰宅後、御勝手口のドアを開けて家に入った。
本来ならいつでも開いている玄関から家に入るのだが、その日は家人全員が家を空けていたので他の窓や扉は全て施錠されていたのだ。
田舎だったから鍵をかける方が珍しかったのだが。
そしてサザエさんに出てくるサブちゃんよろしく御勝手口から家に入った所で、何故か2階にある和室の襖が閉まるときに出る音、
すーっ、パタン。
が、かなり強く聞こえた。
『あれ?誰か居たのか?』
と思って2階に上がってみると人の気配がない。
音が出たはずの和室を覗いても誰もおらず、襖も音が出た通り綺麗に閉まっていた。
『まさかドロボーかな?』
そう思いながら和室に入り、一枚一枚慎重に襖を開けていった。
誰も居ない。
まさか天袋の方か?
天袋とは襖の更に上にある小さな襖がある所。
そこも開けてみた。
天井に繋がっている板も外れてない。
押入れの中も荒れていない。
隣の洋室の方か?
そこは自分の部屋だったのだが、襖状のものは木製のスライドドアしかなかった。
念の為それも開けてみた。
やはり誰も居ない。
じゃあ一階か?
祖母の部屋だった仏壇部屋にある押入れの襖も開けて調べたが布団しか入っていない。
襖ではない各部屋の扉もトイレも全部動く所を調べたが何も変化はない。
結局誰も居ない。
しかも家の扉は全て施錠されており、さっき自分が入ってきた御勝手口だけ開いている。
何となくキモ怖くなった俺は、麻雀をやる約束をしていた友人宅に電話を入れ、約束より何時間も早く家を出たのだった。
音だけ聞こえる気持ち悪さでした。
勝手に襖の開け閉めするなやー。
続くかも。
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