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5話「依頼先。」
息を切らしながら店に着いた。
店の感じはバイク店の様だった。
バイク店を電気店に改装したとの事だった。
外装の壁はくすんで店内がよく見えない防犯ガラス。
床はコンクリートで壁には電気関係のない部品などがあった。
「すみません、遅れました。」
私は息を切らしながら到着した。
「おい!何処で油売ってたんだ?!」
「近くの売店のお婆さんと話が盛り上がってしまいまして。」
「あぁ!!
あそこの婆さん女のお孫さん出来たっつってはしゃいでたなぁ。」
「そうなんです!
その話で盛り上がってしまいまして。」
「なら仕方ない!
さっさと準備しな。
急用でな、近くの金持ちの家へ行くぞ。」
「はい!」
この人はとても元気が良くいい人そうだ。
口は少し悪いけれど背が高く大柄で力持ちだ。
筋肉ムキムキだ。
この店にバイト出来るか入った時、バーベルを両肩に担いでスクワットをしていて吃驚した。本当に。
聞けば90kgもあるらしい。
ウォームアップだ、とか言っていた。
嘘つけ。
私は支給されたつなぎを着て筋肉さんこと、木村さんに付いて行った。
3分程で着いた。
「おぉー!
とても大きな家ですね!!」
「そうだろう!
依頼内容は全ての部屋の電球を付け替えてくれ、だとよ。」
木村さんは何故か少し誇らしげに『そうだろう!』と言う。
「こんなおっきい家の部屋は何部屋あるか…考えたくないなぁ…。」
木村さんより少し高いレンガの塀で囲われた中になったのは昔を思い出すようなお屋敷だった。
西洋風に作られているようだ。
くすんだ赤色レンガが巧みに積み上げられていて、飛び出たバルコニーもある。
階段の左右には丁寧に手入れされた草木の小さな庭がある。
その右側に小さなテーブル1台と椅子が2脚ある、お茶でもするんだろうな。
ジリリリリリリリ
塀の壁にある玄関チャイムを木村さんが押した。
私の身長は156cmなのだが、私の胸元くらいまである塀の鉄格子が開いた。
塀からお屋敷に続く階段を登って、木村さんが綺麗に装飾されているレトロなドアノックを摘み3回叩いた。
コンコンコン
ガチャ…キィ〰〰
立て付けの悪そうな音をたてる重そうなドアから見えたのは、只者ではなさそうな雰囲気のお爺さんだった。
「ようこそおいでくださいました。
どうぞ中へ、主人の元へご案内致します。」
誤字脱字があればご指摘お願いします。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回、お屋敷からです。
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