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1話
「さぁ、100万出たぞー!」
「155万!」
「155が出たぞー!いないかいないかー!・・・落札だぁー!」
「いやあぁぁっ!やめてぇぇぇぇっ!!」
悲痛な叫び声が響く。
ここは奴隷販売所。毎日十数人の女の子が男たちの性欲処理のために買われていく。
私はNo.199339。ここに入ってもうすぐ10年くらい。
「今日の競りは終了!またお越しくださいねぇ!」
にやにやと気色悪い笑いを浮かべながら小峰所長が言う。
首輪をつけられた女の子――No.204896は、小男に連れられていなくなった。
――いつからだろう。こんな光景を見ても、何も思わなくなったのは。きっと私はもう、心がなくなったんだろうな。二度と、人としては生きられない。
「おい、No.199339。明日、お前の番だからな。覚悟しとけ」
「っ・・・!」
いつか来る、もうすぐ来る、と思っていたけど、まさか。
「は、い」
それでも、所長の命令は絶対。そういう〈ルール〉があるから、私達は従わないといけない。
・・・私はどんな人に買われるのだろう。今までは、お金持ちの男の人に買われている子がほとんどだったから、私もそうなるのだろうか。
去ったはずの所長が戻ってきた。
「おい、こちとらお前を15年以上養ってきたんだ。それに見合う働きをしろ。いいな?」
嘘つき。私はここに、15年以上もいない。
「・・・はい」
「よし。・・・お前は“特別”だからな。」
いい顔、いい体、いい声、いい態度、まさに特別だ、きっと十数億は稼げるな・・・
――嗚呼、煩い。
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