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4話
外に出るとご主人様は真っ直ぐに大きな車に入れてくれた。
「あ、おかえりなさーい。・・・わ、その人、買ったの?見る限り結構しそうだけど」
車にはご主人様より少し若い男の人が座っていた。
窓の外の桜の木を見ていたようで、私達の方を振り返ったときには柔らかい微小が浮かんでいた。
「ん。買った。」
「わー、陽翔兄さんに驚かれますね!」
「別に・・・あ、手ぇ、出せ」
「はい・・・」
ご主人様に言われて手を出すと、持っていた鍵で手錠を外してくれた。
「ぇ・・・?」
「外さないほうが良かったか?」
目を見つめながら聞いてくるご主人様。嫌な訳はないから首を横に振る。
「いえ・・・」
「首と足も外してやる」
「あり、がとう、ございます。」
「ん。・・・これは?」
ご主人さまが指さしたのは、私の腕にある199339という数字。
「あ・・・これは、個体の区別のために書かれた物です。」
「消えないのか?」
ご主人さまは私に聞いた。
「私が人間になれば消えます」
所長からはそう言われた。
「人間になれば・・・?」
「はい。私も良くはわからないのですが・・・」
ご主人様が軽くうなずいた。
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