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 季節は流れて〜、hei  過ぎ去りし日々よ、ホウ  三好はソニーのヘッドホンで春夏秋冬を聴いていた。自分が高校生の時の、ドキュンの名曲だ。聞いてみたら案外いい曲で、最近エンドレスで流している。というのも、これは中島ヒロトからのオススメだ。「お前、いつもヘッドホンしてるけど何聞いてんだよ」と聞かれて、東方プロジェクトと答えたら嫌な顔をされ、何曲か無理矢理落とされた。  そして聞いていると、不思議と下半身が軽くなって、なんでもできるような自信が湧いてくる。アニメの元気ソングとは根本的な部分が違うのだ。体が勝手にリズムを刻んで、イケてる人間になったような心地になる。  三好はその足で南條のアパートへ向かっていた。現時刻21時。そろそろ中島ヒロトが自宅へ帰る頃だ。  二階建てのレオパレスの雛形アパート、その一階角部屋が南條の部屋で、鍵の掛かっていないドアを開けると、早速衣擦れの音が聞こえてきた。 「鍵、ちゃんと掛けないと」  敷布団の上で重なっている男の背中に言うが、返事はない。その下から伸びる白い足はダランと力無く、ヒロトの肉欲の餌食になったことが容易に想像できた。回り込んで顔を覗き込むと、南條彰の顔は蒼白で、口に噛ませた靴下は涎でびしょびしょに湿っていた。ペニスはウインナーのように小さく萎んでいる。射精した形跡はない。南條を部屋に監禁して3日、ヒロトと交代で彼を犯し、寝ている間も肛門に異物を挿していじめているが、南條が快感的反応を見せたことはない。 「イクッ、イクイクイクッ!」  ヒロトが叫びながら達した。ずるっと中のものを取り出し、南條から離れる。南條は尋常じゃない量の汗をかいていて、目は薄く開いているが、その焦点は定まっていない。尻の下のシーツは血で汚れている。 「んじゃ帰るわ」 「うん、おやすみ」  先に言い出したのはヒロトだった。「お前、南條の家知ってる?」と聞かれ、アパートに一人暮らしだと教えるなり、監禁を提案した。ヒロトに男色の気があることに驚いたものの、また男を犯せる喜びが勝った。  服を脱ぎ、全身で呼吸している南條に近づき、まずはヒロトを受け入れていた窄まりを指でこじ開けた。 「ん?」  中が、全然熱くない。驚いて指を抜き出し、汗だくの太ももに触れてみる。やけに体温が低い。ハッとして顔を見る。大丈夫、息はある。だいいち身体が動いている。  口に押し込んだ靴下を慌てて抜き出すと、コホコホと咳き込んだ。ほら、元気だ。いや、元気ということはないか。まぁいい、とりあえず生きてる。肩を小突き、「おーい」と声を掛けてみる。反応はない。まつ毛がひくひくと痙攣していて、うつろな目が三好の不安を煽る。 「おい、大丈夫かー?」  やはり反応はない。やりすぎたか? そういえば何か食べさせた記憶がない。仕事中は放置プレイだ。 「おーい、自分で救急車呼べる?」  救急車、と無意識に言っていた。いや待て、病院になんか行かれたら、根掘り葉掘り質問されて、やがて自分に累が及ぶ。こいつはカオルと違って口が軽い。冗談でピストンしたくらいで相談するんだから、犯されたら被害届待ったなしだ。どうする……  そうだ、脅せばいいんだ。恥ずかしい写真……三好はスマホを取り出し、ぐったりしている南條の裸を連写した。 「おい、お前、変なこと言ったら、これ、街中にばら撒くからな!」  画面を見せて怒鳴るが、反応はない。流石に不安になってきた。傷付けるのはヒロトに止められているが、これは緊急事態だと割り切って、カバンからカミソリを取り出した。鬼頭の薄皮をツウっと切りつける。これも反応なし。なら、と肛門に挿し込むと、ビクンと身体が跳ねた。これはいい。三好は何度も抜き差しした。さっきまでぐったりしていた南條が、「ううっ」と痛みに顔を歪ませ、身体を固くしている。三好は一発やることにした。傷だらけの肛門を犯せる機会はこれが最後かもしれない。
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