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僕らはこれから死んだ大地に種を植える。
ジョウドの解禁は人類の悲願だ。地上から汚染物質が消えるのを、人々は辛抱強く待っていた。そのうち福音のように僕らのような子供が現れたのだという。突然変異というらしい。ある日を境に生まれた常人とは違うDNAを持つ子供たちは少ない酸素でも生きられるし、老いを知らず、病に倒れることもほとんどなかった。
僕とリラはそういう子供だ。僕らはここで木を育て、かつての豊かなジョウドをよみがえらせる。故郷を取り戻し、人々をここまで導くために船から降りた英雄なのだ。
「英雄だなんて、あんた、本当にそう思っているの?」
周囲の地質調査を終え、簡単な食事を済ませるころには上人の言っていた通り、時の流れとともに夜が来た。
星明かりの中、横にいるリラがつぶやく。ジョウドには何もないから、当然ながら何の音もしない。そのせいか、つまらないつぶやきもやたらはっきり響く。
リラの顔は見えない。荷物の中にもちろんライトはあるけど僕らは二人ともつける気がなかった。
「だって、そうじゃないか。親鸞を出るときも立派な式典で送られたし、上人だってそう言ってた」
「おめでたいのね」
深いため息が静かな夜に残る。
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