マスク解禁

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 ある遠くない未来。  突然、世界中に菌が蔓延した。それは感染力が高く、爆発的に人々に感染した。一度罹れば重症化するほどの毒性を持つ人類の脅威に、世界中は混乱しつつも、感染防止の為に様々な対策が講じられた。  その内の一つが、どんなときでもマスクをすることだった。飛沫感染が主の原因だと突き止められ、ワクチンが出来るまでの処置として、唾液が極力飛ばないよう簡易的な対策だった。  日常生活や会話など、昔は不必要だった場面でも付けることを強制され、人々は若干の面倒臭さと少々の不便さを感じていた。  いつか外せる日が来るように。誰しも夢見ていた。  それから、数年の時が流れた。  人々はマスクが当たり前になりつつあった。そんな折り、菌の研究機関が、遂に有効打となるワクチンを開発した。これさえあれば菌への抗体が出来て、例え感染しても重症化することが無くなる。 政府の働きかけにより、ワクチン接種が世界中に広まった。数年も経つと、菌は完全に撲滅された。    人々はマスクを取り、気兼ねなく友人と顔を合わせて会話出来るようになった。菌の蔓延した世界を乗り越え、多くの人が喜んだ。  皆、この世界を嬉しがった。もう、菌は勘弁だと、誰しもそう思っていた。  ……ある一部を除いて。
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