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インターホンが鳴って、私は部屋のドアを開ける。
今日は、友達と宅飲みをする予定だった。
夜中に音が聞こえた日以降も、謎の音はたまに聞こえる。
でもあれ以来、頻度は減り、音もハッキリ聞こえるようなことはなくなった。
「じゃーんっ、たくさん買ってきたよ」
買い出しをしてきた友達――明里が、お酒やおつまみ類の入った袋を掲げながら、部屋に上がって来る。
「康平はまだ来てない?」
「うん、来てないよ」
明里が買ってきてくれたものを冷蔵庫にしまい、もう一人の友達、康平が来るまで一緒にテレビゲームで遊んだ。
「そういえばさ――」
私は、最近聞こえる謎の音のことを、明里に言おうとした。
「ん?」
「最近…」
言いかけ、踏みとどまる。
言ったところで、何になるんだろう?
それに、何だか言ってはいけないような気がした。直感的にだけど、私の勘は割とよく当たる。
特に嫌な予感とかは。
「ドラゴンハンターの新作発表あったよねっ」
とっさに、明里と遊んでいるテレビゲームの話題を出す。
「違うよ、あれ新作じゃなくて大型アップデートだよ」
「そうなの?」
「だって今やってるの自体、少し前に発売したじゃん――」
盛り上がっていると、インターホンが鳴った。
「康平かな?」
私は、出て来るねと明里に声を掛け、玄関に向かった。
ドアの覗き窓から外を見ると、買い物袋を持った康平が見えた。
「いらっしゃーい」
ドアを開けるのと同時に、康平が買い物袋を差しだしてくる。
「あれ、康平ってマイバッグ持ち歩く派なんだ?」
荒ぶった猫のイラストがついた買い物袋を見て喋っていた時だった。
ダダダッと後ろから明里が駆け寄ってきた。
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