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「「手?」」 私と康平は思わず同時に聞き返していた。 「うん、手。大きくて、少し皺があって…たぶん男の人だと思う」 怖かったしビックリしたからその手がどうなったかはわかんない―― 明里はそう言った。 公園の隅で、私は2人に見守られながら警察に電話をした。 そして警察同伴の元、アパートに戻って、ベッドの下を確認してもらったところ、全く面識のない60代くらいの男の人が出てきた。 その手には、古びた腕時計がついていた。 直感的に私は、あの謎の音の正体だとわかった。 腕時計なら電子音が鳴るし、夜中に起きた時ハッキリ音が聞こえたのも納得がいく。 あの音が聞こえ始めたのはいつからだったんだっけ。 でも、長いことあの音は聞こえていた。 その間、ずっとベッドの下に知らない男の人がいたんだ。 ゾワッ――全身鳥肌が立つのを感じた。 その後は、簡単に事情聴取を受け、戸締りを入念にするように言われたり、周辺のパトロールを増やしますと言われたりした。 すっかり飲むどころではなくなってしまったけど、アパートにひとりでいるのも気味が悪かった。 かといって、あの部屋に戻るのも嫌で、最低限の荷物だけ持って、暫く明里のアパートにお世話になることになった。 康平も、女2人じゃ心配だからと、明里の部屋で一緒に一晩過ごしてくれた。 お酒が入った私は、暫く前から謎の音が聞こえていたこと、その正体が今日わかったことを2人に打ち明けた。 「「こわ…」」 話を聞いた2人は、青ざめた顔で口を手で押さえ、今日警察に見つけてもらえてよかったねと言ってくれた。
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