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“柊ちゃん!大学受かった!”
平日だったから電話をしたい気持ちを抑えて、私は仕事中であろう柊ちゃんにメールを送った。
するとすぐに柊ちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし」
「莉子、合格おめでとう」
「ありがとう!やっと終わった〜!」
「よく頑張った。すごいよ」
「柊ちゃんがいつも励ましてくれたからだよ!ありがとう!」
今日が合格発表の日だとあらかじめ伝えていたから気にしてくれていたらしい。
仕事中だけど、ちょっと席を外して休憩スペースから電話をかけてくれているそうだ。
その気持ちがすごく嬉しかった。
「今週末に柊ちゃんの家に行っていい?」
「いいよ。久しぶりにゆっくりできるな」
「うん!」
「じゃあそろそろ仕事戻るから。また週末に」
「うん、またね!」
電話を切って、合格通知を見ると、改めて受験からの開放感が訪れる。
これでやっと柊ちゃんにも思う存分に会えると思うと嬉しくて仕方なかった。
そして今度こそ柊ちゃんと次に進むぞと決意を固める。
その週末。
私はいつもより大人っぽい服装を選び、下着も買ったばかりの新しいものを身につけて、気合十分で柊ちゃんの家を訪れた。
そんな私の決意なんか知る由もない柊ちゃんは優しい笑顔で私を迎えてくれる。
部屋に入るとテーブルの上には、ホールのケーキが置かれていた。
「ケーキ?」
「そう。合格祝いに」
「うそ!嬉しい!ありがとう〜!柊ちゃん大好きっ!!」
ホールケーキの上には”合格おめでとう”と書かれたチョコレートプレートがのっている。
私のために文字入れまで注文してくれたのかと思うと嬉しかった。
カーペットの上に腰を下ろし、ケーキを切り分けてさっそくいただく。
「おいしい!あ〜本当に受験終わったと思うとすっごく開放感!長かった〜!」
「まだ周りは2月頃まで受験だろ?」
「うん、そう。私だけ一足先に終わったけど、まだ友達は受験真っ只中だからあんまり浮かれてもいられなくて。学校でも大人しくしてる」
「卒業まであと4ヶ月くらいか」
「うん!受験も終わって時間ができたから、これからはバイトを始めようと思ってるの!」
高校3年になる時に受験に備えてバイトは辞めていたから、また時間ができるし再開しようと思っていた。
柊ちゃんと出掛けると社会人だからといつも奢ってくれるのだけど、自分でもある程度払いたいと思っていたのもあったのだ。
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