嫉妬する葵生

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嫉妬する葵生

今日の授業が終わった、いつものように葵生にメールを送る。 帰りはいつも早く終わったほうが待って一緒にスーパーへ寄って夕食の買い物をして帰るのが日常になった。 俺が終わってメールをするとすぐに返信が来た。 【あと30分くらい】 俺は大学の近くにあるcafeで待つことにした、新富も付き合ってくれてコーヒーとケーキを注文して向かい合って座った。 コーヒーを飲みながらケーキを半分づつ食べる、新富はこの前の告白以来特に変わったこともなく友達として付き合ってくれている。 もし俺が葵生に告白した時、友達としてしか付き合えないって言われていたら、どうしただろう? あのまま友達としての付き合いが出来ただろうか? 新富の気持ちがイマイチわからないけど、いい奴には違いないし、今の俺と葵生の事を知っているのは彼だけだと思うと一緒にいて気持ちが楽だった。 暫く待って葵生が店に入ってきたのに気が付いて、声をかける。 葵生がこっちを見てすぐにテーブルまで来た、そこに新富がいることに気が付いて、俺の横に立つと軽く会釈をした。 「どうも、早川です」 「新富です、この前一度逢ってますよ」 「覚えてます」 「悠行こう」 「葵生もちょっと座れよ、コーヒー呑むか?」 「いい」 「飲めよ」 俺の飲みかけのコーヒーを渡す、葵生はそれを飲み干すと席を立って俺に出ようと目で合図をした。 「じゃぁ俺行くな、また明日」 「悠!明日レポート忘れんなよ」 「おぉ、分かってるって、じゃぁな」 葵生の後を追いかけて小走りに着いて行く、スーパーで買い物をする間も葵生は無口だった。 「葵生!今夜何作る?」 「何が食べたい?」 「葵生の作るのだったら何でもいいや、全部美味しいから」 「そうか」 なんか怒ってるのか機嫌が悪い・・・・・・ マンションに着いて袋を葵生の部屋に置くといったん自分の部屋に戻って、カバンを置いてまた葵生の部屋へ行く。 葵生は買い物したものを冷蔵庫に入れて夕食の準備に取り掛かる。 俺は料理ができるのをソファーに座ってじっと待つ、俺がキッチンへ行くと邪魔だと言われてからは待つことにしている。 でもなんだか今日はじっと座っているのが落ち着かない。 料理が出来上がってテーブルに並んだものを見るといつもながら、感心する。 こんなに早く手際よく料理を作れる葵生に驚くと同時にこれが全部俺の為に作られた料理だと思うとニヤケテくるのが止められない。 「葵生スゲーな、いつもながら美味しそう    いただきまーす」 「悠ゆっくり食べろ、慌てなくていいから」 「だってさ、これ見たら我慢できねーよ」 どれもこれも味がしっかりとしていて、子供の頃葵生の家で食べたものよりおいしかった、家で練習したって言ってたけど、俺の好みに合った味がわかっているようなそんな味付けだった。 食事が終わって片づけが終わると葵生がソファーに座って俺の顔を見た。 何か言いたいことでもあるかのようにジッと顔を見つめてくる・・・・・ 「葵生なんか言いたいことがあるんだろ?」 「あの新富って人友達?」 「あぁーそうだけど、どうして?」 「俺と逢った学食でもあいつと一緒だったよな」 「そうだったな、あの時あの学食に行ったから葵生に逢えたんだよな、ほんと行ってよかった」 「あの人悠って呼ぶんだ」 「まぁな、嫌か?」 「いやだ、それにあいつ悠の事好きなんじゃないかって思うんだけど・・・・」 「なわけあるか、それに俺は男が好きなわけじゃないんだから、お前だけだよ。   俺が他の男を好きになるなんて、絶対ないから。   新富は高校の時の同級生みたいなただの友達だよ、余計な心配すんな」 「わかった・・・・でもあんまり一緒にいてほしくない」 「わかった、校内だけの付き合いにするよ」 「うん・・・・・・俺悠の事束縛してるよね」 「ばか・・・・それぐらいで束縛なんて言うな、俺はそう言ってくれるの嬉しいから」 「悠・・・・・今夜一緒にいたい」 「泊まれって?いいよ、一緒に寝よう」 葵生の感じた不安はきっと新富が俺の事を好きだと告白したことを感じたからだと思った・・・・・新富の態度や視線にそれが出ていたのかどうかはわからないが、葵生の感は当たっている・・・・・今夜一緒にいたいと言った葵生の言葉を無視することは出来なかった。
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