徹底的に無視を続ける俺

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徹底的に無視を続ける俺

俺は次の日いつもより早く家を出た・・・・・それはもちろんあいつと一緒に行く気がないからだけど・・・・・いつもの時間にあいつが来なかったら・・・・・絶対ショックだからそれを避けるためだった・・・・・俺は結局チキンなんだ。 自分で避けるって決めたくせにあいつが俺を無視したらきっと俺は泣きたくなると思う。 でもここで頑張らないと俺は昨日の決意を無駄にしたくなかった。 早めに学校へ着いた俺に教室にいた友達があいつの事を探しているようだった。 「一人?」 「なにが・・・・・?」 「早川は?」 「知らね」 「一緒じゃねーの?なんで?なんで?」 「うるさいなーいっつも一緒って訳じゃねーし」 「へ~~喧嘩でもしたの?」 「してないけど・・・・・普通だし」 そんな話をしてたらあいつが来た・・・・・話しかけられたら困るし・・・・無視されるのも見たくなくて。 俺は教室を出て・・・・・出たのはいいけど行くとこがなくて靴箱の所で知ってる奴が登校してくるのを待った。 暫くして、いつも一緒にいる中学からの友達の南大輔が来た。 俺は今来たみたいな顔をして・・・・・「おはよ・・・・一緒に行こうぜ」 そう言って肩を組んでクラスへ入って行った。 入ってすぐにやっぱり俺の意識はあいつへ向かってしまう・・・・・あいつは席に着いて俺を見ていた。 あいつと俺の席は2列離れていて俺の方が後ろだから今になって少し安心した・・・・・あいつに後ろから見られてるって思うと落ち着かない・・・・俺があいつを後ろから見てる分にはあいつにはわからないから・・・・・ そう思ってる時点で意識してるんだけど・・・・・・だってこれまで10年以上ずっと俺たちは一緒だったんだから意識するなって言う方が無理。 休み時間になっても俺は南や他の奴と話ししてあいつの方を見ないようにした。 「おい・・・・お前たちどうしたんだ・・・・・喧嘩?」 「だから・・・・・違うって言ってるじゃん」 「だって・・・・・急によそよそしくしてて俺らもやりにくいんだよなぁ~」 「そうだよあんなに仲良かったくせにさー」 「だっていつまでも幼馴染引きづってるのもなんだしって思ってさ・・・・」 「へ~~そうなんだ・・・・でもあいつはお前のこと気にしてるみたいだけど・・・・・こっち見てるけどいいの?」 「・・・・・いいよ・・・・あいつ彼女だっているんだし・・・・・無理に俺に付き合わせるのも悪いじゃん」 結局今日一日あいつとは口もきかなかったし目も合わせなかった・・・・・・頑張った俺! 下校もいつもは一緒だったけど俺は他の友達数人と一緒に帰った・・・・・・凄く楽しそうに話しながら帰る俺をあいつに見せたくて・・・・・わざと笑ったり大声で話したりした。 いつもはしないくせに肩組んだり頭触ってみたり・・・・・・俺って嫌な奴だと思ったけど・・・・・それってあいつのせいだって思うことで自分の罪悪感を打ち消した。 家について部屋に戻った俺はいつもよりずっと疲れていた・・・・・・今頃になって言わなきゃよかったと思ってる俺がいた。 おふくろは今朝いつものように葵生が来たといった、それを聞いてほっとした自分がいる。 そうやって3日過ぎ4日過ぎ1週間たった頃には朝も家に来ることもなくなった、でも学校でのあいつは俺を時々見ては何か話ししたそうにしたり・・・・帰りも俺を待ってる素振りを見せたりしてた。 それでも俺は無視し続けた・・・・・正直言って辛かった・・・・・だがここまで着たら意地と言うか・・・・・プライドって言うか自分でもよくわからない気持ちだった。 1ヶ月が経った頃にはもうあいつも俺の事を見なくなった・・・・・俺の方も無理しなくても自然に振る舞えるようになっていた。 そして春休みになった・・・・・・いつもならあいつの家や自分ちで宿題やったりゲームしたりするけど今はどこへも行かないでジッと家で過ごした。 母親までが・・・・・ 「あんた最近葵生ちゃんと喧嘩でもしたの?」 「別に・・・・・あいつ彼女できたみたいだから・・・・忙しいんじゃねーの?」 「そうなの?でも・・・・・いつも家にいるみたいだけど・・・・・さっきも見かけたし」 「・・・・・知らねーよ」 「葵生ちゃんとはずっと仲良かったのに・・・・・もったいない・・・・・仲直りしなさいよ」 「だから・・・・・・喧嘩なんかしてねーって言ってんじゃん」 俺はいつも試験の時はあいつに勉強を見てもらってたけどこれで成績が下がったらあいつが居ないと勉強出来ないって思われるのが嫌で春休み1,2年の復習をやった。 これであいつがいなくても成績は下がらないって証明したかったから。 春休みが終わって、新学期が始まった。 俺たちは3年になった。
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