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いつまでたっても忘れられないダメな俺
夏休みも塾に入りびたりだった・・・・授業がない時間は自習室でやった。試験の合否で将来がすべて変わるとは思ってはいないが・・・・・・二度と挫折は味わいたくなかった。
俺にとっての挫折・・・・・・始めてのそれはあの日。
思い切ってあいつに告白したあの日、あの日の事は今でも夢に見る・・・・手を口元に当ててクスッと笑うあいつの顔が俺の心に棘を刺す。
2学期が始まって下校中も何処へもよらずに帰る日々が続いた。
部活も1学期で3年生は終わる、本当に逢う機会は完全になくなった。
家と学校との往復だけ・・・・・・・クラスのみんなも受験へ向けて気持ちが高まって行くにしたがってあまりふざけることもなく真面目に受験に向けて勉強をしていた。
受験は頑張りさえすれば嫌な思いをしなくて済むと自分に言い聞かせた・・・・・・合格したら一人暮らしをさせてほしいと言う希望も親に了承してもらった。
俺の受験する大学は自宅からでも電車を乗り継げば通えないことはないが、この家にも・・・・俺の部屋にも・・・・周辺にも・・・・あいつとの思い出が多すぎてここにいては大学が別になっても意識するのはわかっている。
場所が変わって大学へ入学して新しい環境と新しい友人関係そして彼女でもできればきっと俺はあいつのことを忘れることが出来る・・・・・・そう思った。
夏休みが終わって9月はセンター試験の申し込みが始まる・・・・・どこの大学のどの学部のどの学科にするかを決めなければならない。
私立も一校は受けるつもりだけど、うかうかとはしていられない。
年末になる頃には推薦で入学が決まった友達も出てきた・・・・・・彼かにとってはもうすでに受験は終わったといっていい。
2学期も終わる頃には俺の成績は確実に上がって希望の大学の合否判定もAクラスになった。
今の俺が希望している大学ならあいつに知られても恥ずかしくない・・・・・・
あの日からずっと俺はあいつを無視してきたつもりだった・・・・・・・それなのに何かを決めたりする時の対象は常にあいつだった・・・・・・・
あいつならどうするかな?あいつがなんて言うかな?あいつが・・・・・あいつが・・・・・
泣きだしたくなるほどにあいつの事が忘れられない自分がいた・・・・・あいつにあの日あんなことを言わなければ今頃は・・・・・・無駄なことだと思っても勉強の合間のわずかな時間があると考えてしまう。
考えないように他の事に意識が向かないように勉強してるつもりなのに・・・・・・何かにつけてあいつが顔をのぞかせた。
我ながらせつな過ぎて、諦め悪すぎて情けなくなってくる‥‥…気持ちを切り替えて赤本を見た。
最近学校であいつを見かけなくなった・・・・・・・たぶんあいつが俺の前を避けているのだろうと思った。
避けられることの寂しさ・・・・・・先にやったのは自分なのに相手がそうしていると分かると胸が締め付けられるような寂寥感を感じた。
優しかったあいつ・・・・・いつもそばにいたあいつ・・・・・・俺の目の前にはいつもあいつがいた・・・・・・
学校にも家にもその何処にもあいつはいなくなった、部屋のベッドやクッションには今もまだかすかにあいつの匂いが残っている・・・・・泣きながらクッションを抱きしめて、あいつの残り香を探す。
涙が溢れて止まらない・・・・・小さな声であいつの名前を呼んだ・・・・・「あおい」
馬鹿だと思う・・・・・・早くここから逃げ出したかった。
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