独り暮らし

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独り暮らし

年が明けてセンター試験が始まった・・・・・・2日間の結果は思った以上に良かった。 2月・・・前期日程・・・・・・・自信はあった。   面接・・・・・結構いい感じだった。 3月・・・・・・合格発表・・・・・俺は合格した。 希望の大学に合格して直ぐに俺は大学の近くに住いを探した‥‥…大学から歩いて15分の所にある築5年のマンション。 ここから俺は新しい生活をスタートさせる・・・・・・・・きっと希望に満ちた未来が待っていると期待に胸を膨らませた。 あいつがどこの大学にしたのかはあえて知ろうとしなかった・・・・・・他県へ出ることはまずないだろうけど別々の人生が始まることだけは確実だった。 新しい住いのマンションで必要なものを買いそろえたり、入学式に着るスーツを買いに行ったり何かと忙しかった。 マンションの近くにはコンビニもあって少し歩けば大型のショッピングセンターもある、環境は抜群だしこれからのキャンパスライフに期待が膨らむ。 自炊は多分しないと思うけど毎日の食事の事は気になった。 引っ越しの片づけが終わって周辺を歩いてみる・・・・・・学生が多いからかCAFEや居酒屋もあった。 俺の行く大学は国内でも学部の多さは抜きんでていて、水産学部、医学部、獣医学部、全ての学部がそろっている。 新入学生は総勢約1万人 これだけの数の学生がこの場所に通学する、医学部だけは別の場所にあるとしても相当な人数だ。 少し離れたショッピングセンターまで行けば何でも揃うだろう・・・・・・・新しい暮らしに気持ちが明るくなっていくのがわかった。 入学式まであと3週間弱、生活用品も揃えて後は入学式を待つばかりとなった。 マンションまで歩く途中に早咲きの桜が咲いていた・・・・・・・ハラハラと散る桜色の花びら・・・・・・・綺麗だけどどこか物悲しく感じた・・・・・・そういえば小学校の入学式にも桜が咲いていて、あいつが桜の花びらを俺の頭に乗せて笑った。 1年生の時は二人とも不安でずっと一緒にくっついていた、あいつも俺が居れば安心で俺もあいつさえいれば安心だった。 1年も2年も3年も同じクラスだった、4年になって違うクラスになったと分かった時、あいつは泣きそうな顔で俺に言った。 「悠ちゃん、同じクラスじゃなかったね」 同じクラスじゃなかったけど、隣のクラスなんだからいつでも逢えるよって俺が言うと、それでもあいつは泣きそうな顔をしていた。 5年と6年はまた同じクラスになって、あいつは本当に嬉しそうに俺の手を握った。 入学式に一緒に撮った写真はずっと机の上に飾っていたのに・・・・・あの写真何処へやったんだろう。 中学の入学式にも桜の花が満開で始めての制服姿が嬉しくて、あいつと肩を組んで写真を撮った、小学生の時の写真と並べて飾った。 高校の入学式の時もあいつと一緒だった、あの時もあいつと並んで写真を撮った、俺より数センチでかくなったあいつは、俺の頭に手を置いて3年間よろしくなって言った。 ずっと変わらずあいつは側にいた、手を延ばせば触れる所に当たり前にいたあいつ・・・・・ 大学でも一緒に撮ろうって約束したのに・・・・・・卒業式は別々だった。 もうすぐ入学式・・・・・大学の入学式は誰と並んで撮るのだろう? あいつが居ない生活が始まる・・・・・
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