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あれは俺の誤解?・・・
新富とはあれ以来本音で話ができる唯一の友達になった、新富は女子と付き合ったことはなく多分自分はゲイなんだと思うと言った。
好きになるのはいつも男の人で、でも一度も付き合ったことはなく、今までも見ているだけだったといった。
俺の事も入学式の日に気の合う好きなタイプだと思ったらしい、好きな人に告白したのも始めてだったと言った。
俺が「好きな人に告白してあえなく撃沈だったね」ていったら笑ってくれた。
早くあいつの好きな人が見つかるといいな。
好きな人と両想いになれる幸せを感じたい・・・・・・俺も・・・・・そう思っていた。
あの日告白するまでは・・・・・・
入学して2か月が過ぎた、校内には学科や学部ごとに数か所の学食やカフェがある、今日は時間があったので新富と一緒に違う学食に行ってみることにした。
場所が違えばメニューも違うかもしれない・・・・・雰囲気も違うだろう。
単純に暇だったから広い校内を見て回る気分で、自分たちがいつもいく学食とは反対方向の学食に顔を出した。
その場所は大学でも偏差値の一番高い法文学部のある場所で、医学部の次にエリートの集まる場所だった。
基本何処の学食で食べても構わないとなっている、それでも少しだけ腰が引けた。
この場所で食事してる奴らは、将来どんな職業に就くのかわからないが,もうすでに俺とは差がある気がする。
新富は笑いながら、「ここで食べるランチは今まで食べたランチとは違う気がする」といった。
そう言われれば・・・・・・そんな気がする、早く食べて元の場所へ帰ろう・・・・そう言いながら美味しいランチをほおばった。
ランチを食べ終えて、トレイを持って席を立った時、後ろの奴とぶつかった。
「すいません」
そう言って後ろを振り返った俺は・・・・・
動けなかった・・・・・トレイを持った手も動かそうとする足も・・・・固まったままだった。
何故ここにいるのかあいつがいるのか分からなかった・・・・・・俺は違う大学に来た?
あいつが・・・・・ずっと逢いたかったあいつが目の前にいた・・・・・・涙が溢れて顔が歪んでくるのがわかった。
早くこの場所から逃げたかった・・・・・あいつに顔を見られたくない。
新富が気が付いて、俺の手からトレイを取ると返還場所に持って行ってすぐに戻って来た。
固まったままの俺の手を引いてその場から離れようとしたとき・・・・・
「悠待って」
そう呼ぶ声を聴いた、いつもそう呼ばれていた・・・・・・聞きなれた声でそう呼ばれていたはずなのに・・・・・長い事聞いていなかった、聞きたかった声だった。
立ち止まって、次の言葉を待った。
「悠!話がしたい」
「・・・・・・」
あいつはそう言って俺の手を掴んで学食を出た、広い芝生の公園のベンチに座った。
「悠逢いたかった・・・・・なんで泣くんだ」
「逢いたくなかったから・・・・・」
「そんなに俺の事が嫌いか?」
「俺は・・・・・お前の事必死で嫌いになろうとしたんだ・・・・」
「なんで・・・・・ずっと俺達一緒だったのに・・・・・」
「だって・・・・・」
「だってなんだよ・・・・はっきり言えよ」
「ところで葵生お前この大学?」
「そうだよ、悠と同じ大学」
「お前俺がこの大学だって知っててこの大学にしたの?」
「そう」
「なんで?」
「悠の事が好きだから」
「なに言ってんだ・・・・・・笑ったくせに」
「笑った?」
「あの日俺が告白した時お前が笑ったじゃん」
俺は盛大な誤解をしていたのだと分かった。
あの日からずっと逢いたかったのに、自分で誤解を解く機会さえ無視していたと分かった。
無駄な時間俺はお前を無視していたとわかった・・・・・
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