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俺の好きな餃子
それにしても・・・・・・・
「お前大学なんでここにした?もっと良いとこ行けたんだろ?」
「お前がいるところに行きたかったから・・・・・いつかまた一緒に話せるようになるって信じてたんだ」
「・・・・・そんな事で大学決めたのか?」
「俺にとってはお前の事が一番なんだ、今も昔も」
俺は自分で盛大な勘違いをして心の中で冷たい氷の塊を大きくしていた。
今あいつの言葉を聞いて俺の氷はあっという間に溶けた、もっと早く俺が素直にあいつに謝っとけばこんなに長くあいつに嫌な思いをさせることはなかったのに、自分だけが被害者みたいに思っていた!
長い時間を俺のせいで無駄にしたあいつになんて言って良いのかわからない!
2人してやっと昔のように並んで歩いた!
俺のマンションで話そうとあいつを誘った!
マンションに着いてエレベーターのボタンを押す!
俺は自分の部屋の鍵を出してドアを開けた。
あいつは着替えてくるって言って隣の部屋のドアを開けた!
「エッお前なに?隣?」
「そうだよ、驚いた?」
「いつから?」
「入学した時から」
「俺がここに住んでるって知っててここにしたの?」
「もちろん」
「マジで」
「いつかきっとまたお前と話せる時が来るって信じてたから」
「今まで会わなかったよな」
「それはたまたま合わなかっただけ、避けてたわけじゃないよ」
「入学してからずっと隣に住んでたって・・・・・ビックリした・・・・・お前人が悪すぎる」
「お前が勘違いしたからだろ、あの時俺の話を聞いてたらこんな無駄な時間過ごさなくてよかったのに」
「わかったって、ごめんっていってるじゃん、俺だって辛かったんだから」
「俺はもっと辛かったの」
「早く着替えてこいよ」
「わかった」
俺は部屋に入って慌てて散らかったものをクローゼットに押し込んだ。
あいつは部屋にきて見回すとクローゼットを開けた。
「やっぱりな」
「おい、やめろ」
「そうだ今夜は俺の部屋で晩ご飯だべよう、俺作るから」
「お前が料理すんの?出来るの?」
「もちろん、大学に入ったら自炊するつもりで家でも作ってたから・・・・どうせお前は作らないだろうと思って」
「俺と一緒に食べるために?」
「あぁ~そうだよ」
「お前そんなに俺の事好きなら早く言えよ」
「お前がそれ言うか?」
あいつは俺の部屋を片付けてから、自分の部屋へ俺を招待した!
同じ間取りの部屋とは思えないほど片付いててインテリアもおしゃれで、俺はなんだか初めて彼女の部屋にきた彼氏みたいに緊張した!
あいつは冷蔵庫から材料を出して料理を始めた、冷蔵庫も普通の家庭にあるようなでかい冷蔵庫で中もきれいに整理されてた!
「何作ってくれんの?」
「お前の好きなものだよ」
「俺の好きなものって?」
あいつの言う俺の好きなものが何なのか自分でもわからなかった。
「楽しみにしてて」
俺の好きなものなんてあいつが知ってるはずないのに・・・・・!
おれは料理が出来上がるまでテーブルにあった本を読んだ
何が書いてあるのか頭には入ってこなかったけど、他に何してたら良いのかわからなくて、ひたすら料理ができるのを待った!
あいつがテーブルに料理を並べ始めたのがわかった、ご飯も炊き上がってお箸を準備してあいつは俺を呼んだ
「悠出来たよ」
俺はソファーから立ち上がってテーブルを見た!
そこには俺の好きな餃子と炒飯と卵スープが乗っていた。
「お前なんで俺が餃子が好きって知ってんの?」
「中学の時うちでご飯食べた時、母さんが餃子作って出したらお前が餃子大好きなんですって言ってただろ」
「それ覚えてたんだ」
俺は葵生の好きなものが何なのか知らない、なのにあいつは俺のそんな昔の一言をずっと覚えててくれたんだ。
そう思ったらまた涙が出てきて、俺はしゃくり上げながら泣いた。
葵生は何も言わずに俺を抱きしめてくれた!
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