212人が本棚に入れています
本棚に追加
俺とお前の関係
俺の名前は浅見 悠
そしてあいつは早川 葵生
あいつはずっと俺の側にいた、幼稚園の入口で母親と離れられずに泣いていたお前の手を引いてから、俺はこの先ずっとお前を守ると決めた。
小学校でもお前の側には俺が居た、それが当たり前のように・・・・・登校も下校もお前は俺から離れなかった、クラスが別れてお前が泣いた時「隣のクラスだから心配しなくていい」そう言った俺に可愛く「うん」と言って頷いたお前・・・・
中学になったら一気に俺の身長を抜いて、上から見下ろすようになったお前・・・・・成績もスポーツもいつの間にかトップに躍り出て、おまけにイケメンにまでなったお前は女子の憧れとなり、男子の羨望の的となった。
それでもお前の視線は俺を見据えたままだった・・・・・
だが高校生になったお前はいきなり雄になり、告白する女子ともれなく付き合い、そして別れを繰り返した。
付き合うたびに別れるたびに俺に報告するお前に、愛想笑いで揶揄う俺の胸はその都度チクリと傷んだ。
チクリチクリと痛み続けることに耐えられなくなった俺はお前への気持ちを自覚し認めた。
友人でも親友でも幼馴染でもないお前の存在・・・・・
そしてあの日俺の正直な気持ちを打ち明けた・・・・・俺にとって一世一代の告白だった。
幼稚園から一緒だったお前に真剣な顔で恋心を打ち明ける俺の心境をお前は分かってくれるだろうか?
注文したコーラが来てそれを少し飲んだ所で気持ちを落ち着かせて言った。
いつになく神妙な顔でお前を見つめ胸のドキドキを必死で押さえ込み、口にした言葉・・・・・
「俺・・・・・・お前の事が好きなんだ・・・・・・・・好きって言ってもただの好きじゃなくて・・・・・likeじゃなくてloveの好きで・・・・・お前が女子と付き合ったり話してるのを平気な振りするのももう我慢できない・・・・・だから・・・・」
俺はそれだけを一気に言った・・・・・・もっとほかにも言いたいことがあった気がするけど・・・・・
取りあえずそれだけ言ってあいつの反応を見た・・・・・
そしたらあいつが口元に手を置いてプッって笑った‥‥…
俺がどれだけ勇気を振り絞って言ったかも知らないくせにそれなのに・・・・・・
俺はそれを見て・・・・・・俺の告白を含めてすべてを笑われた気がして・・・・・・心臓がヒヤッとして頭から冷水を浴びたような気がした。
俺はきっと真青な顔をしてたと思う・・・・・・あいつの次の言葉なんて聞きたくなくて店を飛び出して家まで走った。
部屋に駆け込んだと当時に涙が溢れ出て、それはずっと止まらなくて・・・・・何度も唾を飲みこんで鼻水をすすってずっと泣いた・・・・・高校生の男が泣くなんて・・・・・でも俺はショックと情けなさと・・・・・・・・・
俺の告白を笑われたことがショックなのと・・・・・少しだけだけど期待してた自分が悲しかった。
もうあいつと一緒にいられない寂しさで涙が止まらなかった。
俺が勇気を出して言ったのに・・・・・それなのに・・・・・あんなふうに笑うか?
もっと俺が想像してたような言葉の方がずっと良かった・・・・・・それなのに・・・・・俺の想像の上をいった。
俺の涙が止まったのは深夜になったころだった・・・・・・そしてその時俺の心には冷たい氷の塊が出来た。
冷え冷えとした氷の塊を胸に抱えて・・・・・俺は決めた。
今後一切あいつと口を利かない・・・・・・目を合わせない・・・・・避ける・・・・無視する・・・・・明日から実行すると決めた。
最初のコメントを投稿しよう!