side セルビオ

2/5
177人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「王族を脅迫するなど言語道断ではありますが……」  マシューは呆れ顔で証拠でもある脅迫状をヒラヒラさせた。 「だろ!? 逆恨みも良いところだ!」 「しかし、処刑はあまりにも罪が重すぎるというもの……殿下、ほどほどに」 「ふざけるな! その脅迫状のせいでミュリアとの婚約が危機に……」 「いえ、婚約のではありません。もう破棄されましたから」  しれっと重大な事を言うマシューに俺の動きは止まる。 「はっ? いや、だってまだ書類上は……」 「はぁ……どうも、こちらも手違いでですね……国王様が署名されたようで」  はぁぁぁ!? 父上!! なにしでかしてんだよっ! 「手違いで済ますなっっ!!」 「急な事でしたので、こちらもバタバタしておりまして……どうも、決裁書類の中に紛れ込んでいたらしく……」  俺は額に手を当て俯いた。    何をどうしたら、決裁書類の中に俺の婚約契約書が紛れ込むんだよ! 「……おい……この王宮にはポンコツしかいないのか……?」 「そんな事ございません。優秀な人材を揃えております」 「どこがどう優秀なのか1分以内に説明してくれ! 逆にどこがどうポンコツなのか俺は1分以内に説明できるぞ!!」  澄ました顔して、すっとぼけた事を言うマシューに俺は声を張り上げる。  優秀な人材は手違いなんかしねーよっ。 「ポンコツの説明は、まぁそのうち伺います。あの時は、舞踏会5分前という切羽詰まった状況でしたしねぇ」 「それは脅迫状の(ぬし)に言え!! あんな分かりづらいところに脅迫状なんて入れるからっ。脅迫するなら、もっと早めにわかりやすく脅迫しろと!」 「その言い分もどうかと……」  マシューは遠くを見ながらボソリと呟いた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!