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(幼い子供を連れた主婦が何故、日の暮れた河川敷の階段下に倒れていた死体に気づくことができたのだろう)
『スマホの明かりを頼りに階段を下って死体を発見した』という母親に、高橋は疑問を投げかけた。
「なにかの見間違えだと思うんですけど……堤防の上を歩いていたら、ご遺体が薄っすら光って見えたんです」
遠慮がちにそう申し立てる主婦が嘘をついているとは思えなかった。
高橋は、現場検証が始まる前に飛び散った肉片の一つをこっそりとビニール袋に忍ばせると、天才と名高いかつての旧友白石恭一郎の研究所に持ち込んだのである。
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