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結は時々、浅野先生という男の先生のお手伝いをしていた。ふとんを干したり、花壇に水をあげたり。それが終わると部屋に帰ってきて、僕にお菓子をくれた。浅野先生からもらったと言う。
それは、結が中学生になっても続いていた。僕は10歳になっていた。
「糸、浅野先生から大判焼きもらったから食べよう。カスタードだよ。」
結がご奉仕をして僕はおこぼれをもらう。それに対して悪いなって思う。
「結、1人で食べなよ。」
「ばーか、2個も食えねーよ。」
「それだったら、ご褒美は1人分で…。」
「いいの。浅野先生がそうしたいんだから。」
そう言って僕の口に近づける。僕は誘惑に負けて口を開けた。
「ふふ。」
結も美味しそうに食べた。
「糸」
「ん?」
結が、僕の唇を舐める。
「口にカスタードついてた。」
時々、こうされるのは当たり前のこと。
「ありがと。」
義父と母が、こうする時僕はベランダに追い出されたものだった。だから、こうされても何か悲しい気持ちにならなくていいって知った時には結の存在が大きく思えた。
「うまかったあ。」
「ごちそうさまでした。ねえ結、僕もお手伝い行こうかなあ。」
「いいの。糸は。他の子だってやってないんだから。」
「でも。他の子だってオヤツ以外のお菓子もらってないよ。」
「いいんだよ。糸は俺と一緒の部屋なんだから。浅野先生も俺だけ食べて、糸が食べないのはかわいそうだって言って2人分くれるんだよ。」
結は、僕が納得しないのをなだめるのが得意だった。
浅野先生と結が、花壇の手入れをしているのを見て近づいた。
「浅野先生、僕もお手伝いします。」
結は、少しだけ仕方がない顔を見せてきたけど
「糸、そしたら水あげて。ジョウロで上からかけてね。」
そう言ってにっこりしてジョウロを渡してくれた。浅野先生も水のかけ方を教えてくれたから、僕はお手伝いができた気分だった。
花壇の手入れが終わると、結と浅野先生と一緒に倉庫で道具を片付ける。僕だけ先に部屋に帰ってと結が言うから素直に部屋に戻った。でも、何か変だと思って、倉庫に戻った。
結が何かを我慢しているような声が聞こえてきた。なんとなく2人に見つかるのはまずいような気がした。
ものかげから2人を見ると下半身を露わにされた結の姿がそこにあった。浅野先生は結を抱きしめてその下半身に顔をつけていた。
「結、いい子だね。」
結のすすり泣く声が聞こえてくる。
「今日のご褒美もちゃんとあげるからね。」
「う、う、うっ、あっ、やあっ。」
結の体が魚のように跳ねる頃、僕と浅野先生の目があった。
僕は怖くなって、倉庫から逃げた。
部屋に戻ってベッドに飛び込んで枕に顔をつけた。見てはいけなかった。絶対にそうだった。
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