君が”運命”と呼ぶのなら

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******  彼女には、もったいない。  なぜあんな男と付き合っているのだ。  けれど見ず知らずの自分が出しゃばるとそれは逆にマイナスだ。  見ず知らずを抜け出さなければ、きっと彼女はこれから不幸になる。  だから今は準備期間。  彼女のために髪型を整え、彼女好みの眼鏡をかけた。  抜け出すときをじっと待っていた。  そんなとき、いつもの駅で彼女がいつもよりドレスアップをしていた。  外は雨。タクシー乗り場は、行列。  リュウは、スマホを取り出し、サチの彼氏の居場所を確認する。  今日はサチとクラシックのコンサートに行く予定だったくせに、どうやら彼は女の家にいるらしい。  まぁ、その女というのはリュウが仕込んだ女だったりするのだが。  まだ計画的には早い。  そして、今日、彼女の前に現れたらここから半年彼女の前に現れることは出来ない。    しばらく彼女の様子をじっと見ていたが、今にも駆け出しそうな雰囲気の彼女のもとへリュウは歩み寄る。  計画変更だ。 「よかったら」  時期が早まったものの、温めてあったシナリオ通りの笑顔で彼女へ傘を差し出す。    
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