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「だが!」とレイナートは言い淀んだ
学園で習ったことを思い出したのだろう
「殿下、聖女の常識を思い出されましたか?」
「あ、あぁ…」とレイナートは唸っていた
自分でしでかしたことの重さに気づいたのだろう
あとは、そう思い
「アイリス。」と声をかける
突然名前を呼ばれ、驚きビクッと肩を震わせ
「な、なんですか。」と睨みつけられる
その様子に少しため息をつきながら問いかける
「アイリス・リアンデール。貴方は本当にレイナート・フォン・ルーヴェールを愛していますか?」そう問う姿は神父のようだ。
その問いかけにアイリスは戸惑いを見せた
この大人数の前で問いかけに肯の返事をしたら、何かあった場合そんな事言っていないとは言い逃れできない
「………では、レイナート・フォン・ルーヴェールはアイリス・リアンデールを愛していると誓えますか?」とレイナートに問いかける。
彼はアイリスと違いすぐ頷いた
「あぁ、当たり前だろう!貴様のような悪女など愛するところもないがアイリスは美しく可憐であるからな!」と
「別に構いませんが…」とフェミリアは呆れたように小さい声で呟いた
レイナートに愛されたところで嬉しいことなど何一つないと言い切れる自信がある
ため息をついていると周りの令息令嬢の話し声が聞こえてきた
「姉から婚約者を奪うなんて……」
「フェミリア様が悪女!?そんなわけないでしょう…!」
「アイリス様の方が悪女でしょうに…」
「なら、真の悪女はアイリス様ですわね」
などと言う声だ
(アイリスが真の悪女…言う通りかもしれませんね…)
「アイリス、貴方は本当の殿下を愛しているの?」
「っ……えぇ。」躊躇った後、アイリスは肯の返事をした
その手元は右手で左手首を握りしめていた
「アイリス、嘘をおやめなさい。」
「何をおっしゃっているの?レイナート様に婚約破棄されるのが嫌だからかしら?」と嘲笑う
「いいえ。婚約破棄が嘘でしたら、悲しみのあまり聖女の座を辞させていただくわ。」と凛とした瞳でそう告げる。
周りはフェミリアの聖女の座を辞す発言に驚いたが、レイナートは
「聖女じゃないことを暴かれて辞すならわかるが、婚約破棄が嘘で悲しみのあまり、聖女の座を辞すのはおかしくないか」とツッコミを入れたが誰にも気づかれなかった
「そんな!わ、私は…」アイリスは俯き、涙を浮かべた
「私はお姉さまが殿下と婚約破棄したいのではないかと言うことに気がついて……!」涙を零しながらアイリスの元へ駆け寄り、事を起こそうとした理由を姉に話した
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