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「何をおっしゃっているの…!?あの方は…!」と隣のいたエルレアは怒りをあらわにしてそう呟いた
「っ……これはどう言うことですか?レイナート殿下。」
自分も怒りを持て余しているがそれはあらわにできない。まず、どうしてこのような行動を起こしたのか確認しなくてはいけない
「ふっ、貴様がしでかした悪事は全て知っている!そのような女を王族になどできぬわ!罪を悔い改めるんだな!」とたからかに笑いそう言った
「罪とは?何をおっしゃっているか、わかりませんわ。私は恥すべきことを一切しておりません。」
(罪?何を言っているのかしら…)
王太子の突然の婚約破棄宣言に場の雰囲気はとっくに壊れてしまい、混乱している
「貴様は実妹であるアイリスをいじめ、いや最も大罪なのは聖女の名を語ったことだ!」
「おっしゃっている意味がわかりませんわ。妹をいじめる?聖女の名を語る?良い加減なことをおっしゃらないでほしいですわ。」とキッと睨みつける
「っ…〜」フェミリアが睨みつけたことで怯んだのかレイナートは言い淀んでいたが、すぐさま切り替え
「アイリス!」そう妹の名を呼ぶ
(どうなっているの…!?なぜアイリスが…)
「……」
アイリスはレイナートの側から現れた
どうやら柱に隠れていたようである
「アイリスっ?どうして貴方がここにっ?!」
一つ年下である妹はこの場にはいないはずであるのに不思議に思う
(ただ、卒業生のパートナーを務めていなければ別だけど…この学年に婚約者がいるわけでもないし…)
そう考えるのは、妹がレイナートと協力し、私を断罪しようとしているとは思いたくないからである
(まさかよね…)
「お姉さま、ごめんない!私、みんなを騙すのはもう無理だわ!」と泣きながら切実に訴えてき、自分が悪者にでもなった気がした
「何を言っているの?アイリス。」
(騙す?なんのこと?さっぱりわからないわ…)
「皆のもの!よく聞け!アイリスは長年、実の姉であるフェミリアに虐められ、さらには本来聖女であるアイリスを押し退け、聖女の座についたのだ!」とレイナートは手をピシッと伸ばし、そう告げる
まるで演劇のような光景だ
「何をおっしゃってるの…」自分の空気が騒つくのをフェミリアは感じた
きっと、魔力の制御がうまくできていないのだろう
エルレアに話しかけられていると思うがそちらに意識が集中しなくて、アイリスやレイナートの方を睨んでしまう
「聖女は生まれた時から銀髪に碧眼であり、百合の印を持っていますわ。アイリスは一つも当てはまっていないではないですか…?」
聖女が銀髪碧眼なのは全国民の常識であり、レイナートはそれを否定するものだった。アイリスはリアンデール特有の桃色の髪に翡翠の瞳だ
「ふん、そんなもの魔法で偽造できるではないか」とレイナートは元婚約者の言い訳を鼻で笑った
「しかし、聖なる色を魔法で変えることは不可能ですわ。」とフェミリアは正論を返した
「だ、だが!」
「いい加減にしてくださいまし、このような祝いに場の雰囲気を壊して何をおっしゃられるのですか!?」と遂にフェミリアは怒りが爆発してしまった
会場にいる者もフェミリアの怒りに賛同するよう声を上げる
「な、フェミリア、貴様!不敬であるぞ!伯爵令嬢の分際で!」とレイナートは怒りをあらわにした声でそう叫ぶ
フェミリアは伯爵令嬢でもあるが聖女でもあるのだ。聖女は王族と同じ地位であり、レイナートとは身分は等しいいや、聖女は国王と同じ程なのだ
国王に次ぐ地位であるため、レイナートより身分は高いと言えよう
どちらかというと、レイナートの方が不敬なのだ
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