お姉さまの為なら。

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お姉さまの為なら。

「私、お姉さまが最近読んでいる小説が、聖女の逆ざまぁものばかりだったから、レイナート殿下と婚約破棄したいのでは、と気づいて…!」 (なぜ、私が読んでいる小説を知っているのかしら…家には持ち帰っていないのに…)と疑問に思った。 聖女のため、神殿の部屋があるのだ。基本はそこで寝泊まりしていて2年は帰れていない まぁ、シスコンのなせる技だとだけ、言っておこう。 「そうだったのね……殿下と婚約は解消させていただきたいと思っていたわ。それに、小説の彼女たちは私と境遇が似ている気がして読んでいたのよ。」と婚約解消したい旨と小説を読んでいたの理由をアイリスに教えた 「アイリス、貴様は俺を騙していたのか!?」と怒鳴り近づいてくるレイナートは王族にふさわしくない姿だった アイリスの前に近寄り拳を振り下ろそうとしてくる 突然のことに逃げることができず、殴られる事を覚悟する (殴られたって、お姉さまに治してもらえるわ!)そう思っても殴られることへの恐怖で身がすくむ 「そのような行動が、王族にふさわしくないのだ。レイナート」アイリスへ振りかざそうとした拳を止めたのは第一王子フリードだった 王族の象徴である紫の瞳、亜麻色髪の長めの髪を後ろに一つに結んでいる美貌の王子の登場に会場にいる令嬢は頬を赤く染めた 「兄上!何故ここに…………!?」というレイナートの声を無視し、 「そのような行動を王族にふさわしいと言えるのか。」と問いかけた 「っ……」フリードの言葉に何も言えなかった (王族としてふさわしい行いではないという自覚はあるのか。) 王族の振る舞いではないと自覚できている弟に安堵した。 まだ、救いようがあるからだ 「話は聞かせてもらった。アイリス嬢も故意の行動ならばお咎めがあるだろうが…レイナート、貴重な聖女との婚約を勝手に破棄しようとしたのだ。廃嫡は免れないかもしれない」と冷酷にフリードは告げた その瞳には感情が宿っておらず、レイナートのことなど一切写していなかった 「だ、黙れっ!俺は、俺は、王になるんだっ!!」と感情のまま魔力を暴走させ、竜巻が起こった ガラスは割れ、場にいる者たちの服を切り裂く しかし、その直後温かい光が身を包んだ フェミリアの結界魔法と治癒魔法である 「レイナート…」と静かにフリードは弟の名を呼ぶが、レイナートは狂ったように叫ぶばかりだ 魔力の暴走は、放置するしかなかった。 下手に攻撃してしまうと、魔力に防衛反応がさらに暴走し、命の危機に晒すからだ。 「フリード」 「フェミリア」 互いの名を呼び合い、二人はレイナートをめがけて駆けた
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